ホリエモンが語る「フジテレビ買収騒動の舞台裏」――僕が“あえて”ビッグマウスになった理由堀江流・経営者に必要な『やりきる力』(3/3 ページ)

» 2021年06月06日 08時00分 公開
[堀江 貴文ITmedia]
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自分の力を、僕自身が誰よりも信じている

 20年ほど前、僕がメディアに登場したとき、世間的には「成金の若手起業家」というイメージだったと思う。苦労や我慢を知らない、ITで一発当てたラッキーボーイ。一方的な思い込みで、ずいぶん誹謗中傷されたものだ。

 我慢を知らないのはその通りだったが、ラッキーボーイというのは承服できない。何もないゼロの状態で起業して、お客さんのいなかったインターネットの市場を、自分たちで必死に開拓した。ゼロからのスタートで急速に成長を遂げ、プロ野球球団や、ニッポン放送の買収に迫るまで会社を大きくしたのだ。幸運だけで、そんなことをやれるわけがないだろう。

 当時、あるテレビ討論会に、著名な経営コンサルタントと並んで参加した。彼は僕より30歳近く年上のおじさんで、僕に対して、最初から批判的な姿勢だった。「堀江に、フジテレビの経営をできるわけがない!」と強い口調で言われた。けれど僕は、即座に言い返した。

 「できますよ。何を言ってるんですか。僕は10年間、社長をやっているんですよ」

 年長の視聴者層には、生意気で、空気を読まないビッグマウスに映っただろう。20代の起業家の経験と、フジテレビの経営では、スケールが違うとも思われたかもしれない。けれど、僕はオーナー社長として、ゼロからイチを足し続け、会社を成長させてきたのだ。挫(くじ)けずに、膨大な成功体験を積み重ねたという自負があった。

フジテレビ(写真提供:ゲッティイメージズ)

 失敗をたくさん経験した。心が削られそうになったこともある。だけど実践とチャレンジをやめなかった。経営者の筋力は、ハッタリではないと確信していたのだ。

 僕の最大の武器は、若さと生意気さではなかった。圧倒的な経験と努力の量なのだ。

 地道な作業を途中でやめない集中力と生真面目さは、成功条件の幹だ。その過程で、あえてビッグマウスになるのは、挫(くじ)けそうな自分を鼓舞する意味でも有効だった。できそうもないことを「できますよ!」と言えたときは、本当にできてしまうのだから、ビッグマウスは大いに奨励したい。

覚悟を決めて退路を断て!

退路を断てば、やりたいことに注ぐ時間や情熱は

それだけ増える。

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