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マールボロブランドが消滅 フィリップ モリス インターナショナルCEOに聞く「たばこビジネスの展望」新・たばこビジネス【後編】(2/4 ページ)

» 2021年10月08日 11時37分 公開
[武田信晃ITmedia]

新しいビジネスの柱は?

――マールボロをイルマ用に販売する予定はあるのですか? テリアだけを展開する計画ですか?

 今、私たちが模索しているのは、テイストの体験です。テリアの味は、マールボロ・ヒートスティックよりもシームレスな体験を提供できると考えています。

 ただこの先、多くの人にイルマを提供する中で、もう少し何かを増やせると思っているので、もう少しお時間をいただけたらと思います。

テリアスティック・レギュラー

――紙巻たばこは過去のものである一方、貴社にとっては現状、大きな収益源であることは間違いなく、それを失うことになります。それを埋め合わせる新しいビジネスの柱を作る可能性はありますか? 先日もカナダの医薬品会社メディカゴを買収していますね。

 まずは、紙巻たばこからより良い代替製品に切り替えてもらうことが第1にすべきこととなります。PMI全体の売り上げで、第2四半期で煙の出ない代替製品の占める割合は29%です。日本では60%と先ほど話しましたが、これだけでも世界と日本の違いが分かると思います。

 IQOSの取り組みにはこれまでに80億ドル相当を投資してきました。その中でいろいろな知見を得ることができたので、その知見を医療やバイオテックに展開することで、消費者のニーズがある分野にソリューションを提供できると考えています。

 メディカゴは田辺三菱製薬との共同出資で買収しました(田辺三菱が全株式の60%を取得)。メディカゴは植物由来のウイルス様粒子技術を持っていて、それこそ新型コロナウイルスのワクチン開発も手掛けています。植物由来なので、たばこの葉、とりわけ遺伝子構成に関しての知見があり、さまざまなソリューションを提供しています。

インタビューに応じるオルザックCEO

――紙巻たばこの撤退はいつをめどに考えていますか?

 個人的には紙巻たばこの販売はできるだけ早く止めたいと思っています。規制当局、消費者と一緒になって取り組んでいくことになりますが、決して遠い将来のことではないと考えています。完全に紙巻たばこの販売を中止する意味では、多くの国で10〜15年後が現実的な数字だと考えています。

 ただ、市場から紙巻たばこが完全になくなるとは思っていません。移行しなければいけないということで、例えば、ガソリン燃料の車から電気自動車に移るには時間がかかるのと同じですね。時間はかかるとは思いますが、イルマというより良い製品に移行してもらえると期待しています。

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