トップインタビュー

マールボロブランドが消滅 フィリップ モリス インターナショナルCEOに聞く「たばこビジネスの展望」新・たばこビジネス【後編】(3/4 ページ)

» 2021年10月08日 11時37分 公開
[武田信晃ITmedia]

正しいメッセージを伝えることが重要

――IQOSをはじめとした煙の出ない代替製品はどれくらいの国で販売されているのですか?

 現在、煙の出ない製品は世界の67市場で販売されていて、当社はこれを2025年までに100市場に到達させることを目指しています。適切な規制環境と市民社会の後押しがあれば、多くの国で10年から15年以内に紙巻たばこの販売を終了できると考えています。

――世界的に見た場合、アルコールはあまり過度な規制はされていない一方、たばこには厳しい規制を課す国が多いです。何か思うところはありますか?

 商品に対して規制があるのは、何かしらの理由があるからだと思います。商品を求める人が、一定の品質を担保したものを享受できるかが重要で、例えば、紙巻でも加熱式でもニコチンを体に入れる行為は、ある一定の年齢以上に制限すべきと思います。

 一方で、どんなメッセージを消費者に伝えていくかが大事で、正しいメッセージを伝えることができれば消費者も正しい判断ができると思います。煙の出ない代替製品がいいのかどうか懐疑的な人はまだまだいますから「オルタナティブな商品にスイッチしたほうがより良い未来がありますよ」とメッセージを出せるかがポイントです。

 一方、アルコールについては、いかに影響を軽減できるのか、どういった状況で飲むべきなのか……。例えば、「車を運転するときには飲んではいけない」といった条件があると思います。結局のところどういう規制であっても、誰がどのような場面で消費するのか、その時のリスク要因は何なのかといったことを洗い出したうえで、安心を提供するために規制があると考えています。

――最後の質問ですが、5月にCEOに就任しました。いろいろな国の人たちを束ねていかなければならない中で、組織をまとめるリーダーとして意識していることはありますか?

 当社はグローバルカンパニーで、かつ大きな組織なのでいろいろな問題が発生します。多様な市場環境の中で臨機応変に戦っていくわけですから、特に社員のダイバーシティーを重視しています。 

 国籍や性別だけではなく、さまざまな多様性を受け入れるようにしています。具体的には、誰もが自分の意見を聞いてもらえる、会社の一員として必要とされていることを感じられる環境を提供することです。社員による「間違った質問」というものはありません。どんな意見であっても丁寧に聞き、それをまとめ、意思決定をしていくことになります。

 もう1つ大事なのはエンドパーティー(消費者)を気にしなくてはいけないことです。商品を買ってもらった後も消費者とのやりとりを続ける必要があり、さらにより良い商品を提供するには何が必要かを考え続ける必要があります。これはリーダーとしては重要な資質の1つだと思います。

 また、多くの人たちに感謝をすることも大事です。とくにフィリップ モリス ジャパンの人たちにも、IQOSをより良くしてくれた日本の消費者にも、この商品を市場に出すことを認めてくれた日本政府にも感謝しています。

「新型 IQOS ILUMA」投入によって更なる売り上げの拡大を目指す(記者発表会にてアイティメディア撮影)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.