コラム
» 2008年02月04日 08時00分 公開

資料がないOM-2 SPの分解-コデラ的-Slow-Life-

シャッター不良でミラーアップしたままの「OM-2 SP」。さっそく分解を……とネットを調べても情報がなく、分解のとっかかりとなるネジも見当たらない。注意深く観察すると、どうやら接着剤止めであることが分かった。

[小寺信良,ITmedia]

 さて、ミラーアップしたままで固まってしまっているOM-2 SP。ここで気をつけなければならないのは、決して無理してミラーを下げようとしてはいけないということである。ミラーアップしたままということは、長時間露出の状態で固定されている事と同じなので、無理矢理こじ開けても、どこかのピンやレバーを折ってしまうだけだ。

 新しい電池に替えて、モードレバーをガチャガチャと切り替えてるうちに、ミラーが降りた。何度か空シャッターを切ってみたが、マニュアルなら問題なく動くようである。いろいろ組み合わせを試した結果、どうもAUTOモードのときだけミラーアップしたままになってしまうようだ。モードレバーの接点が甘いのかもしれない。

 さてそれでは軍艦部から開けていこうと思ったのだが、OM-2 SPは数がそれほど多くないこともあって、ネットで調べても分解の情報が見つからなかった。旧OM-2の資料はあるのだが、いきなり開けたところから始まっていたりして、最初のとっかかりが見つからない。


photo 実は接着剤で貼ってあるだけだった

 フィルム側の開け方は、まあどのカメラも同じなので簡単なのだが、巻き上げレバーをはずそうにも、ネジらしきものが見当たらないのである。最初は何もないつるんとした部分をゴムで回そうと試みたが、全然回らない。

 ルーペで観察したら、飾りネジと思った部分はただの段差で、中心部はキャップみたいに一体成形であることが分かった。この頃のOLYMPUSは製造の合理化からか、結構ゴーカイに接着剤止めを採用している。この部分もなんのことはない、単に接着剤で止まっているタダのフタだった。

モルトが少ない内部構造


photo 結局難しい部分は全部接着剤止めだった

 ようやくねじ穴が出てきたので、分解開始。もう一つの難関は、ISO感度ダイヤルである。ほかの部分はあらかたネジを外したのだが、この部分を外さない限り、軍艦部が外れそうにない。もしかしてここもそうかと思い、思い切って表のカバープレートをはがしてみると、やっぱりここも接着剤止めで、中からネジが出てきた。OLYMPUSは時々こういう罠がある。

 さて懸念したモード切替部は、簡単なツメが接点を撫でるタイプのスイッチになっていた。目に見えて錆びている感じはないが、一応綺麗に磨いた。また接点となるツメも、きっちり触れるように少し起こし目にしておいた。


photo モードダイヤルの接点部分

 このOM-2 SPはプリズムに腐食もなく綺麗なファインダだったが、それはそのはずである。腐食の原因となるモルトが、内部にほとんど使われていない。OM-2では、プリズムとファインダ接眼部の間を大量のモルトで囲ってある。おそらく光漏れ防止のためだと思われるが、OM-2 SPの場合、プリズム部にまるで屋根のように大きなフレキ基板が乗っているので、これで光漏れ防止の役目を兼用しているのではないだろうか。


photo プリズム部分にモルトが使われていない

 接眼部も外して裏側から掃除してみたが、OM-10のように接眼部にCdSは使われておらず、別の方法でマニュアル時の露出を計っているようである。

 あちこちひっくり返しながら探したところ、ミラーの奥にもう1階層設けて、そこにかなり大きなセンサーを配している。ハーフミラーを通り抜けた光を、ここでセンシングすることで、マニュアル時の露出を決めているものと思われる。


photo ミラーの裏側に大きなセンサーが

 接点をクリーニングしただけで、なんとなく動くようになってしまった。ただAUTOの1/4秒以下の超低速になると、やはりミラーアップしたままになってしまう。だが普通そこまで低速では撮らないし、マニュアルモードなら全速でちゃんと動くので、OKということにした。

 最後に、文字部分のクリーニングの仕方を書いておこう。カメラやレンズボディには、数値を記した小さな文字部分が沢山ある。この文字がくすんでいると、なんだか妙に古ぼけて見えてしまう。こういうところは、掃除のつもりでほじくっているとキリがない。そこで筆者がいつも使うのが、いわゆる「毛穴パック」である。

 最近は鼻に貼るためシート状になっているものが主流だが、大きなドラッグストアに行くと、コーヒー用のミルクのようなパックに入ったジェル状のものがある。これを文字盤の上に、やや多めに塗布する。多めにするのは、地肌が金属なので、時間が経つとジェルをはじいてしまうからである。

 固まるまでおよそ30分。パリパリッと剥がすと、細かい汚れまで、文字の形で綺麗に取れる。簡単で手間もかからず、新品同様の文字の輝きが再現できる。文字盤以外にも、絞りリングのギザギザ部分など、いろいろな部分で使える技だ。知恵を使ったクリーニングもまた、カメラレストアの楽しみである。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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