景気後退の影響が本格化するといわれる2009年は、ソフトウェアベンダーにとっても厳しい年になりそうだ。ERP最大手のSAPも楽観できる状況ではない。
景気後退の影響が本格化するといわれる2009年は、ソフトウェアベンダーにとっても厳しい年になりそうだ。ERP最大手のSAPも楽観できる状況ではない。2008年の9月に急遽就任したSAPのギャレット・イルグ社長に、2008年の顧客動向を振り返り、2009年を展望してもらった。より積極的なパートナー戦略を考えているという。
ITmedia 2008年9月に急遽社長に就任されました。ミドルウェアのBEAシステムズ(現日本オラクル)で社長を務めた経験なども併せて、就任からこれまでを振り返って何を感じていますか。
イルグ 多くの人から「難しい時期に新しいポジションについた」といわれます。しかし、わたしはいつも同じ反応です。顧客満足度と社内のチームワーク向上を推進していくという2つを実践するのみです。BEAはミドルウェアの会社でしたが、SAPは業務ソフトウェアを提供します。顧客の業務にかかわるという面で、より顧客に近い立場で支援する必要があると考えています。BEAにいたときよりも、SOAはユーザーにより深く浸透し始めています。
ITmedia 顧客動向についてはいかがでしょうか。
イルグ 2008年の顧客動向を一言で表現すると「アグレッシブで注意深かった」といえます。難しさはあったものの、企業の多くが、ワークフローの電子化を理解し始めています。ビジネスプロセスの変革が必要という考え方に例外はないと感じました。
2009年は状況が違います。顧客企業の周りをSAPが完全に取り囲む必要があると考えています。SAPの営業とパートナー企業が一緒になって顧客先に向かうというセールスモデルを考えています。そのためには、コンサルティング企業やシステムインテグレーター、ディストリビューターなどの各パートナー企業とビジネスプランを作成します。
同時に、複数のエリアにまたがって顧客企業のビジネスネットワークを変革することにも力を入れます。ワークフロー、ガバナンス、セキュリティといった分野を電子的につなぐことに注力します。SAP傘下に入ったビジネスインテリジェンス分野のビジネスオブジェクツの活躍もカギを握ると考えています。
ITmedia 2009年はクラウドコンピューティングやSaaS(サービスとしてのソフトウェア)によるアプリケーション提供がさらに注目されるといわれます。
イルグ SaaSは確かに興味深いのですが、今のところ成功例があまりないのが実情です。注目しているのはSAPのパートナーによるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の活用です。パートナー企業がサーバやストレージなどのインフラをホスティングの形で顧客に提供し、そこでSAPのアプリケーションを利用してもらえればいいと考えています。
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