うるばな。を開始する前に、ライオンは「ティーザーサイト」を展開していた。これは商品やサービスの情報を断片的に紹介し、利用者の関心を集めることを目的としたプロモーション用のWebサイトのことだ。ライオンのティーザーサイトは、うるばな。の画像とWebプロモーションの開始日までの日数を表示した簡素な作りだった。
利用者の関心集めもさることながら、ティーザーサイトには別の仕掛けが隠されている。うるばな。を設計したサイバーエージェントによると、同ティーザーサイトには「リターゲティング」という手法を採用している。
これはサイトにアクセスしてきたユーザーのWebブラウザにcookieを付与することで、ライオンが参加するアドネットワークにユーザーが訪れた時に、商品に関連のある広告を表示する手法だ。ユーザーとの接点を取りこぼさないための施策で、「2008年の半ばから導入を検討する企業が増えている」(同)という。専用のWebサイトを開設する以外にも、プロモーションに関係する仕組みをくまなく取り入れている。
Webプロモーションのプロジェクトを担当した西倉氏は「女性向けの美容商品はWebプロモーションに向いている」と話す。@cosmeに寄せられた書き込みは同社のほかの商品よりも多かったし、「Web上では、参加者が(みずから)告知をしてくれた」(同)。
限られた宣伝費の中で商品の売り上げを伸ばすためには、テレビや雑誌以外にも利用者との接点を持つ必要がある。日用品のブランドにこだわる人はそれほどいないが、美容品のブランドにこだわりを持つ女性は多い。商品のブランドイメージを浸透させることと売り上げを伸ばすことは同義になる。
不景気でモノが売れなくなる中、従来の方法で商品を売るのには限界が見えつつある。ライオンは「商品の多くが日用品だったが、今後はF1やM1(20〜34歳の男性)層を獲得する商品が必要になる」(石田氏)と考えている。
「Webプロモーションが成功するかは未知数。やってみないと分からない」と神田氏は言う。だが、Webプロモーションは顧客との新たな接点を作り、きずなを深めることができる手法だ。うるばな。の成功はライオンのこれまでの販売促進を変えるとともに、商品の売り上げを押し上げるための試金石になるだろう。
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