「女性の共感」で販促の活路を切り開く――ライオン勝ち残る企業のWebプロモーション(2/2 ページ)

» 2009年03月10日 08時30分 公開
[藤村能光,ITmedia]
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「ティーザーサイト」で顧客の取りこぼしを無くす

うるばな。のティーザーサイトのイメージ うるばな。のティーザーサイトのイメージ

 うるばな。を開始する前に、ライオンは「ティーザーサイト」を展開していた。これは商品やサービスの情報を断片的に紹介し、利用者の関心を集めることを目的としたプロモーション用のWebサイトのことだ。ライオンのティーザーサイトは、うるばな。の画像とWebプロモーションの開始日までの日数を表示した簡素な作りだった。

 利用者の関心集めもさることながら、ティーザーサイトには別の仕掛けが隠されている。うるばな。を設計したサイバーエージェントによると、同ティーザーサイトには「リターゲティング」という手法を採用している。

 これはサイトにアクセスしてきたユーザーのWebブラウザにcookieを付与することで、ライオンが参加するアドネットワークにユーザーが訪れた時に、商品に関連のある広告を表示する手法だ。ユーザーとの接点を取りこぼさないための施策で、「2008年の半ばから導入を検討する企業が増えている」(同)という。専用のWebサイトを開設する以外にも、プロモーションに関係する仕組みをくまなく取り入れている。

販売促進の試金石になるWebプロモーション

ヘルスケア事業部ビューティケア事業部の西倉莉加氏 各部署にWebプロモーションの重要性を説いて回ったという西倉氏。自身の営業経験から「パーソナル系の商品はそのブランドを好きになってもらって初めて購入される」ことを痛感したという

 Webプロモーションのプロジェクトを担当した西倉氏は「女性向けの美容商品はWebプロモーションに向いている」と話す。@cosmeに寄せられた書き込みは同社のほかの商品よりも多かったし、「Web上では、参加者が(みずから)告知をしてくれた」(同)。

 限られた宣伝費の中で商品の売り上げを伸ばすためには、テレビや雑誌以外にも利用者との接点を持つ必要がある。日用品のブランドにこだわる人はそれほどいないが、美容品のブランドにこだわりを持つ女性は多い。商品のブランドイメージを浸透させることと売り上げを伸ばすことは同義になる。

 不景気でモノが売れなくなる中、従来の方法で商品を売るのには限界が見えつつある。ライオンは「商品の多くが日用品だったが、今後はF1やM1(20〜34歳の男性)層を獲得する商品が必要になる」(石田氏)と考えている。

 「Webプロモーションが成功するかは未知数。やってみないと分からない」と神田氏は言う。だが、Webプロモーションは顧客との新たな接点を作り、きずなを深めることができる手法だ。うるばな。の成功はライオンのこれまでの販売促進を変えるとともに、商品の売り上げを押し上げるための試金石になるだろう。

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