タスクチームのアクションプランは実行されてこそ意味がある。しかし、アクションプランを立てたがそれを実行しない、という場合が少なくない。「アクションが難しい」「業務の一環として取り組めない」「進ちょくが見えない」といったことが代表的な原因に挙がる。
これを防ぐには、(1)現実性のあるアクションか、(2)本気で取り組める体制を会社が整備しているのか、(3)進ちょくを管理できているか――をチェックする必要がある。
1.現実性のあるアクションか
アクションプランは現実性のあるものにすべきだ。タスクチームは日常業務とは異なる場で行われる。「本来こうあるべきだ」という理想を考え、非現実的なアクションプランのもと、担当者と期限を決めてしまうことがある。だが誰もフォローできなければ意味がない。ここでは、現在の業務の一部として実行できる現実的なアクションプランを設定したい。
2.本気で取り組める体制を会社が整備しているのか
現実性のあるアクションプランを立案しても、そのフォローをタスクメンバーの個人のモラルや努力に頼っていることはないだろうか。本来、タスクチームは会社が必要と判断して結成されたはずだ。経営層からの支援もあって、タスクチームは進行している。アクションプランはタスクメンバー個人の努力だけに頼らず、組織全体で支えていかなければならない。もちろん、アクションプランに対する経営層のサポートも必要だ。
経営層の賛同を得るのは、タスクリーダーの仕事である。「サポートする」という言質を取るだけではなく、組織変更や人材の配置転換といった具体的なアクションを求めたい。
3.進ちょくを管理できているか
経営層が具体的なアクションプランに同意し、対応をしていても、アクションプランが進まないことがある。それは進ちょく管理ができていないためだ。進ちょくの管理には、できるだけ簡単な評価指標を定義することが必要になる。
完璧を期すあまり、考えられる限りの評価指標を盛り込んでしまう場合がある。しかし、進ちょく管理のたびに評価指標をデータで揃えるだけでも、社内における情報コストが発生する。チェックするだけでも作業負荷が掛かってしまう。複雑な評価指標は、実際には日常業務で活用できない。
「最低限これだけ監視して、『進ちょくしていない』という異常値を把握できればいい」といったシンプルな評価指標を作ることを心掛けたい。そして進ちょくを定期的に確認し、経営層にフィードバックをする。評価指標でチェックする仕組みを作り、進ちょくを把握する方法に合意を取っておくことが必要になる。詳細なデータを取得し分析するのは、異常値が分かった時点でいい。
最終回では、タスクリーダーに求められる心得について紹介する。
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(注)本書に掲載された内容は永井孝尚個人の見解であり、必ずしも勤務先であるIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。
日本アイ・ビー・エム株式会社ソフトウェア事業部にて、マーケティングマネジャーとして、ソフトウェア事業戦略を担当。グローバル企業の中で、グローバル統合の強みを生かしつつ、いかに日本に根ざしたマーケティング戦略を立てて実践するのか、格闘する日々を送っている。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「永井孝尚のMM21」で、企業におけるマーケティング、ビジネススキル、グローバルコミュニケーション、及び個人のライフワークについて執筆中。著書に「戦略プロフェッショナルの心得」がある。
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