IPOなんてどうでもいい、世界を目指そう――日本のベンチャーを見つめ続けたマイナー氏が語る(2/2 ページ)

» 2011年07月19日 08時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
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資金は自然と集まってくる

 日本のベンチャーが国際展開を目指すのならば、一刻も早く海外に出るべき――というのがマイナー氏の考えだ。しかし、資本の少ないうちにいきなり海外展開することに不安を持つ起業家も多いはずだ。「わたしもかつては不安でした」とマイナー氏は言う。

 「国内で成功しないうちに海外に手を広げてしまうと、倒産の可能性が高くなると思っていました。しかし、世界中が注目するシリコンバレーで評価を得られさえすれば、自然と資金やパートナーが集まってくることに気がついたのです」

 しかし初期費用の問題もある。IPOをせずに、どのようにして海外進出の必要資金を調達するのか。

 マイナー氏は「赤字の目的を理解した上で投資してくれるVCを探すことが重要」と話す。また、日本には初期段階のベンチャーに多額の出資をしてくれるVCもあり、その点では米国よりも恵まれていると同氏は強調する。

言語の壁は越えられる

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 「シリコンバレーで注目を集めるためには、自分が持つビジネスモデルの面白さをしっかり伝えられる必要があります」とマイナー氏。日本には面白いアイデアを持っているにもかかわらず、それをうまく伝えられない起業家が多いという。しかし、面白さを伝えるためのプレゼン技術さえ身につければ、日本のベンチャーがシリコンバレーで注目を集めることは可能だとマイナー氏は話す。

 サンブリッジは過去、ネットオフ、パンカク、モルフォ、フィジオスといった日本の学生ベンチャーをシリコンバレーのビジネスコンテスト「iEXPO」に出場させ、「Innovation Award Winners」を受賞させた。「適切なコーチングさえ受ければ、海外で勝負できるプレゼン技術を日本の起業家が身につけることは可能です」とマイナー氏は語る。

 言語の違いも、越えられないほどの壁ではないという。「セカイカメラ」を開発する頓知ドットはかつて、米ブログTechCrunchのイベントでプレゼンをして出資を受けることに成功した。同イベントに参加していたマイナー氏は、「英語は片言で拙いものでしたが、そのプレゼンからビジネスモデルの面白さは伝わってきました」と当時を振り返る。

 「まずはやってみることです。何か面白いと胸を張れるアイデアを持っていれば、その面白さを伝える方法はいくらでもあります」


 日本の起業家をシリコンバレーにアピールするjANNOVATION Weekには、日米のベンチャーを長年見つめてきたマイナー氏の思いが詰まっている。期間は8月1〜5日(太平洋標準時間)。参加費用は700ドルから。サンブリッジのWebサイトで応募できる。

 「今年は初回ということで、特に厳しい参加基準は設けていません。世界を変えるようなものすごいアイデアを持っていなくても構いませんし、まだ会社を立ち上げていなくても構いません。誰かに面白いと言ってもらえるようなアイデアと、“本気で海外を目指す気持ち”さえあれば歓迎したいと思います」(マイナー氏)

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