IT基盤提供の迅速化については、NTTコミュニケーションのグローバルネットワークを採用した。そしてSaaS型クラウドサービスであるMicrosoftの「Office 365」、IaaSの「Azure」を利用し、クラウド間をつなぐマルチクラウドコネクト(閉域接続)を実装している。重要な機密情報は、三菱グループが管理するプライベートクラウドで管理する。
三菱電機では、用途に合わせて、パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドを活用している。2017年には、すべての施策を完了する計画で、2020年になるとグループ全体で年間約20%の費用が削減できるという。
三菱電機グループは、すでに国内でCSIRTを設置している。CSIRTとは、セキュリティ上の問題に対応する組織である。だが、国内に比べれば海外拠点での設置が遅れている。このCSIRTについても展開を広げ、グローバルでもセキュリティへの対応力を高めていく計画だ。
情報共有、コミュニケーションについては、個人のスマートフォンなどを業務に使用するBYODも視野に入れて、スマートフォンの業務利用を拡大するプランを持っている。社内の業務システムも、スマートフォン対応を進めていくという。
IT基盤の迅速化に関しては、グローバルネットワークのさらなる品質向上やコスト削減はもちろんのこと、今後クラウドサービスの利用が広がることを見越して、外部クラウドサービスとの接続のための認証基盤を整備し、社内外のクラウドサービスの活用を促進する計画を持っている。
しかし今後、利用するパブリッククラウドサービスの種類を増やしていくと、サイロ化が進み、管理が複雑化し、最終的に運用の負荷が高まる可能性もある。
「ユーザー認証基盤やセキュリティ基盤、ネットワーク基盤を整備することで、共通のインタフェースを用意し、それを前提として統一した運用管理ができるように進めていきたい。BCPの観点に立って考えても、それぞれのクラウドサービスを個別なものとして運用するのはリスクがある。統一した仕組みの上で、さまざまなサービスが使えるようにしたいと考え、IT基盤の整備を進めてきた」(木槻氏)
講演の最後に木槻氏は、「今後も継続的にIT基盤の強化、事業運営の効率化、事業拡大に寄与していきたい」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.