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6人それぞれの視点で“飛び出す”立体ディスプレイCEATEC JAPAN 2009

» 2009年10月07日 15時04分 公開
[ITmedia]

 「3D一色」という気配すらある今年のCEATEC。2010年の家庭向け実用化を目指すソニーとパナソニックはメガネを着用する方式(アクティブシャッター方式)を採用しているが、理想はメガネなしの裸眼立体視だろう。NICT(独立行政法人 情報通信研究機構)が試作機を展示する「大画面裸眼立体映像提示システム」は、メガネがいらず、見る位置によって見え方が異なるという立体ディスプレイだ。

photophoto 裸眼多視点立体映像システムと表現できる「大画面裸眼立体映像提示システム」の映像(写真=左)、ソニーやパナソニックなど家電メーカーが多くブースを構えるホール1〜3ではなく通路を挟んだホール4にありながら多くの来場者が詰めかける

 このシステムはスクリーンの背面に特殊な指向性光学素子を備えたプロジェクタアレイを複数配置して映像を複数投射することで、視聴者の位置が変われば、見え方も変わるという体験を提供する。試作機のスクリーンサイズは70型で、解像度は1920×1080のフルハイビジョンだ。プロジェクタアレイの総数は非公開だが「フルHDのリアプロジェクターが数十台入っているイメージ」(説明員)だという。

 NICTは昨年のCEATECでも同様のシステムを展示していた(→麻倉怜士のデジタル閻魔帳:CEATECで発見した「近未来のテレビ像」)が、今年は立体に見える範囲を昨年の左右計約24度から約45度へと約2倍に拡張し、同時に6人がそれぞれの位置から3D映像を楽しめるようになった。また、映像のモアレを減少させたほか、コントラスト/解像感についても改善が行われた。

 同種のシステムはハンガリーのホログラフィカ社が実用化しており、自動車メーカーのデザイン検証などに利用されているという。NICTではこのような工業デザイン検証用のほか、デジタルサイネージへの利用も想定しており、さらなる大画面化も検討している。

 また、同様にNICTブースで展示されていた「超臨場感音響システム」も興味深い。ステレオやサラウンドのように“音場を作り出す”のではなく、“音源を発生させる”という発想から作り出された立体音響システムで、演奏者を取り囲むように設置した26のマイクで録音した音を、26個のエンクロージャーを配置した球状スピーカーユニットから再生する。

photophoto 「超臨場感音響システム」のスピーカーユニット。直径は17センチ。写真は座ってギターを弾く演奏者の音を再現するため、ポールの高さは腰の高さほどとなっている

 搭載されたエンクロージャーはそれぞれ独立した音を再生するいわば26ch構成で、あたかも目の前に演奏者がいるかのよう“音源を発生”させる。ただし、現時点での商用化や製品化は検討されていないほか、26という数も要検討の要素であるという。

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