秋葉原の中でもユニークな品ぞろえで知られる有名PCショップ「オリオスペック」が、QNAPのTurboNASシリーズ「TS-119」を同店だけの専売モデルとして発売した。実はこのニュース、すでにかなり前から告知が行われており、一部のユーザーのあいだで大きな話題を呼んでいた。
TS-119といえば、CPUにMarvell 6281(1.2GHz)を採用した1ベイタイプのホームユース向けモデルだ。一見すると、単なるエントリークラスのNASに思えるが、以前PC USERでレビューしたように、ファンレスという特徴を持つ。この点が少し毛色の違った層から絶大な支持を得ているのだ。
オリオスペックの松田氏は、「いわゆるネットワークオーディオの環境を構築する愛好家の方々がTS-119を指名買いする状況でした。すでにTS-119の生産は終息し、確保していた在庫がはけてしまってからも、多くのユーザー様から再販の要望が寄せられていたんです。そこでどうにか販売できないかと、国内販売代理店のユニスターに相談し、ウチの専売モデルとしてQNAPに生産をお願いしました」と再販までの経緯を説明する。
もともとオリオスペックは、日本国内で初めて正規にQNAPの取り扱いを開始した最初の店舗でもある。海外製NASで定評のあったQNAPの製品は、信頼性と自由度の高さで一部のPCマニアに受け入れられていったが、当時は上級者向けの趣が強かった。
そのQNAPがオーディオ愛好家から熱い視線を向けられたのは、オーディオメーカーである英LINNがネットワークオーディオ分野の周辺機器としてTurboNASに注目したのがきっかけだ。当時オリオスペックは、QNAP製品を扱う老舗ショップということでリンジャパンに相談を持ちかけられ、その技術協力に応えるうちに「QNAP製品の信頼性に加えて、長寿命HDDとの組み合わせやLINN DS向けの設定などが評価をいただき、推奨NASとしてご推薦いただきました」(松田氏)という。実際、その質の高さがオーディオ専門媒体に取り上げられ、ネットワークオーディオ界では、QNAPが事実上のスタンダードNASに位置づけられるまでになった。
松田氏は「QNAPの製品は音がいいね、というお客さまもいれば、ファンレスモデルでHDDをSSDにしたら音が変わった、という人もいてさまざまですが、いずれにしてもQNAPの高い信頼性がうけているのだと思います。単に安さを求めるなら、ほかにいくらでも選択肢はありますが、“本当にいい音”を求めている人たちは、価格よりも信頼性や品質を重視しますから」と分析する。
ただし、単に高品質なQNAPの製品というだけでオーディオ愛好家の支持が得られたわけではなく、そこにはオリオスペック独自のノウハウもあったようだ。松田氏は「ネットワークオーディオ用に販売していたNASには、音質に効果があると思われる工夫は片っ端から試していました」と当時を振り返る。「例えばノイズが出そうなところに電磁波防止シールドを全部張って、箱を開けると湿布だらけのおじさんみたいな状態になっていたりとか。これはあまりに面倒なのでもうやってないですけどね(笑)」。
「それと、こういった層のお客さまは、必ずしもNASの知識を持っているわけではありません。むしろ、PC初心者やNASを見るのも初めてだという方のほうが多いくらいです。ですので、お客さまがQNAPを購入してすぐ使えるように、ネットワークオーディオ対応モデルは、例えばTwonky Mediaでマルチメディアフォルダを有効にしておくなど、あらかじめ設定した状態で販売しています」と松田氏。「NASと聞くと何か難しいような印象を受けるかもしれませんが、ウチはそういったお客さま向けに製品を販売してきたので安心してください」と心強くコメントしてくれた。
知る人ぞ知る「TS-119」の復活。ネットワークオーディオに興味がある方は、是非オリオスペックに足を運んでみてはいかがだろうか。なお、販売台数は限られているとのことなのでお早めに。
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