“最強NAS”の究極形――QNAPとSSDで無音NASのメリットを追求する:進化を止めない最強NAS 第2回(1/2 ページ)

» 2010年10月26日 17時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

利用シーンの広がるSSD――QNAP公式サポートSSD「SEKITOBA」を活用する

 QNAPのNASキット「TurboNAS」シリーズは、多くのラインアップが、発売当初のARM系CPUからAtomやCore 2 Duoのx86系CPUにシフトしたほか、メモリの増強、ベイ数の増加など、スペック面の増強が図られている。その一方で、ホットスワップ対応トレイにも進化が見られる。ベゼルを跳ね上げるように開くと、てこによって軽い力でHDDの取り出しが可能なカギ付きのトレイは、ラックマウントサーバやディスクアレイでもよく見られる形状だ。

 トレイへの取り付けはねじ止めだが、ねじ穴に工夫があり、3.5型だけでなく2.5型のHDDも利用可能になっている。2.5型を利用すればHDD自体の発熱量が少なくなるだけでなく、ケース内のスペースが多くなるためにエアフローが改善され、システムが発する熱を抑えられる。また、消費電力が小さいこと、動作音が小さいこともメリットだ。特に多ベイ型のモデルでは、ディスクスピンアップの音はかなり大きくなるため、起動時や省電力モードに移行してから復帰する際の静音化の効果は大きい。容量単価やパフォーマンスなどでは3.5型に及ばない2.5型だが、用途によっては2.5型専用の「SS-439 Pro」や「SS-839Pro」でなくとも十分選択肢となりうる。

ユニスターが販売する「SEKITOBA」はQNAPが公式対応をうたうSSDだ

 この2.5型の優位性をさらに追求したのが今回取り上げるSSDだ。SSDは駆動部品がなく、無音で動作する。特にファンレスの「TS-119」と組み合わせた場合には“完全無音NAS”が実現する。

 もっとも、SSDはインタフェースこそHDD互換とはいえ、フラグメンテーションやウェアレベリング、トリムコマンドなど、HDDとは異なる“作法”も少なくない。HDDが使える機器すべてにSSDが使用できるわけではないということに注意が必要だ。そして、TurboNASシリーズでメーカーが動作保証しているSSDが、ユニスターの販売する「SEKITOBA」である。

完全無音NASの活用術

TurboNASの標準機能である「ダウンロードステーション」は、BitTorrent、FTP、HTTPのバックグラウンドダウンロードをサポートする。24時間稼働で自動的にコンテンツを収集するにはうってつけの機能だ

 NASを完全無音にするメリットは大きい。一般にPCはユーザーが使用しているときに起動させるが、NASなどのサーバは24時間稼働が前提だ。ワンルーム環境では「動作音が気になって眠れない」という理由で導入をためらっていた人もいるだろう。TurboNASシリーズでは電源オン/オフをスケジューリングできるため、夜間は電源オフにする、という使い方もできる。しかしその一方で、TurboNASシリーズは多機能かつ拡張可能なNASであり、PCレスでさまざまな機能を利用できるという強みもある。

 それでは、人がいないときや使っていないときに、どのようなTurboNASの活用方法があるだろうか。その代表となるのがダウンロードだ。TurboNASシリーズには当初から「ダウンロードステーション」という機能が搭載されている。これはWebサイトなどで一般的に利用されているダウンロードプロトコルのHTTP/FTP、P2PのBitTorrentをサポートしており、ダウンロードステーションにURLやトレントファイルを登録しておくことにより、PCレスでダウンロードを行ってくれるというものだ。

 ダウンロードステーションに登録する際は直接ダウンロードステーション管理画面から行うほか、Windows/Macとの連携ソフト「QGet」にドラッグ&ドロップしたり、直接開くことでもできる。ほかにも複数のURLをまとめて登録し、Rapidshareからのダウンロードにも対応した「RapidGet」「JGet」などもある。さらに、iPhone/iPad用の「QGet Remote」「QGetMobile」「QGetMpbile HD」もリリースされている。

 また、TurboNASの拡張機構であるQPKGを導入すれば、さらに機能を拡張可能だ。「MLDonkey」はeDonkey/eMuleをサポートしており、管理画面を使ってファイルの検索からダウンロードまで一括して行うことができる。「GetNZB+」や「SABnzbdplus」はニュースグループを用いてサイズの大きなバイナリファイルを配布するNZBをサポートする。現在、ニュースグループをサポートするISPは激減しているが、その代わりニュースグループの配送にフォーカスした有料サービスは健在だ。アーティクルの保管時間もどんどん長くなる傾向にあり、目的がはっきりしていればこうしたサービスを利用するのも手だ。

「QGetMobile HD」はiPhone/iPadからダウンロードステーションへの登録、操作が可能なアプリだ。外出先で指示しておけば帰宅時にはダウンロードが完了している、といった使い方ができる(画面=左)。NZBGetはバックグラウンドでNZBファイルのダウンロード、結合、デコードを実行する(画面=右)

GIGANEWSは原稿執筆時点でバイナリファイル808日間、テキストファイル2680日間保存するニュースプロバイダ(画面=左)。NZBの検索はbinsearch.infoなどを利用する(画面=右)

そのほかには? QPKGだけではない拡張機能

 TurboNASは、TS-x10/TS-x19のARM系とそれ以外のx86系に大別できる。当然ながらバイナリレベルでの互換性がないため、QPKGもそれぞれのものが用意されている。ARM系にないものもあり、その代表がJavaの実行環境であるJREだ。

 ところが、実はARM系TurboNASにもJREをインストールできる。ARM用バイナリのJREは再配布が許可されていないため、QPKGとしては用意されていないものの、導入用のQPKGとバイナリを別々にダウンロードすればインストールは簡単だ。JREを必要とするアプリケーションとしては、PS3向けDLNAサーバソフト「PS3 Media Server」がある。DLNAサーバとしては標準でTwonky Mediaが搭載されているものの、トランスコードが無効化されている。一方、PS3 Media Serverはトランスコード、ISOファイルをサポートしており、PS3を所有しているのであれば別途導入する価値はあるだろう。

TurboNASシリーズの比較表。原稿執筆時点でTS-x10/x19がARM系、それ以外はx86系CPUを搭載する(画面=左)。ORACLEのエンベデッド版Javaダウンロードページ。ARMv5 Linux - Headless(EABI, Soft Float, Little Endian)を選択すればいい(画面=右)

ダウンロードするのは一番下のARMv5用。ARMv6用は動作しないので注意。ダウンロードしたファイルはPublicに保存する(画面=左)。JRE QPKGは、QNAP NAS Community Forumからダウンロードする(画面=右)

 また、QPKGだけでなく組み込み機器向けパッケージ「Optware IPKG」も利用できる。Optware IPKG自体はQPKGからインストールできるが、パッケージ導入はコマンドラインで行う必要があるため、SSHかtelnetを有効にしてTeraTermなどから操作する。基本的なオプションは次のとおりだ。

  • ipkg update: パッケージ情報を更新する
  • ipkg list: パッケージを一覧表示する
  • ipkg upgrade: インストール済みパッケージをアップグレードする
  • ipkg install [パッケージ名]: パッケージをインストールする
TeraTermは定番中の定番ターミナルソフト。TurboNASをいじるなら必須のソフトだ(画面=左)。TurboNASはSSHを標準でサポートしており、管理画面のログインID/パスワードでログインできる。ただし認証方式はプレーンテキスト(画面=中央)。Optware IPKGのパッケージは原稿執筆時点で1400以上もある(画面=右)

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