監視カメラからiTunesまで――“最強NAS”をホームサーバとして使う“真・最強NAS”活用術 第4回(1/4 ページ)

» 2010年02月04日 18時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

まずは新ファームウェアをチェック

 2010年1月4日、新ラインアップであるTS-259Pro/TS-459Pro/TS-659Pro/TS-859Proの発表に合わせて、新ファームウェア3.2.1 build1231が公開された。内容はQNAPの新ラインアップに搭載されたファームウェアを反映したものとなっている。第2回で紹介したファームウェア3.1.2 build1014からのバージョンアップ内容は以下のとおりだ。

  • Web File Manager2をリリース

 Web File ManagerがWeb File Manager2になった。フォルダ/ファイルを別ペインで表示したり、右クリックメニューをサポートするなど、ユーザーインタフェースが大きく変化し、操作性が向上した。さらに各種圧縮形式にも対応しており、PC側のCPUを使用せずにアーカイブファイルを解凍できる。また、複数ファイルをzipファイルにまとめたうえでダウンロードすることも可能だ。

 通常はネットワークドライブとしてエクスプローラから操作すれば十分だが、Web File ManagerはTS-639Pro自身がファイル処理を行う。例えば、エクスプローラ上でTS-639ProのQdownloadフォルダ以下からPublicフォルダにファイル移動を行うと無駄なトラフィックが発生してしまうが、Web File Managerで行えばローカルドライブ上での移動処理となるため、ネットワークに負荷をかけることもなく数秒で完了する。必要に応じて使い分けるといいだろう。ただし、Firefoxでは正常に動作しないようだ。

インタフェースが一新されたWeb File Manager。フォルダとファイルが別ペインで表示されるため操作性が大きく向上した(画面=左)。アーカイブファイルの解凍も可能。特に解凍先がTS-639Proの場合は無駄なトラフィックが発生しない(画面=中央)。TS-639Pro上にアーカイブファイルを展開する場合の違い。緑のラインの太さが転送量を表す。Web File Managerから解凍するとネットワーク上の負荷、PCの負荷はほとんど発生しない(画面=右)

  • Time Machine、WebDAVのサポート

 Mac OS XのTime Machineのバックアップ先として利用できるようになった。ワイヤレスネットワークこそ非搭載であるものの、WindowsとMacが混在する環境ではTime Capsuleの代替としてかなり有力な選択肢と言える。また、HTTP/HTTPS経由でファイル共有を行うWebDAV(Webフォルダ)もサポートされた。Windows7はWebDAVのサポートに難があるが、インターネット経由での利用などに重宝するだろう。

あらたにTime Machineサポートが追加。Mac OS Xタイムマシーンのバックアップ先としてTS-639Proが利用できる(画面=左)。WebDAVはHTTP/HTTPS経由でファイル共有を行う。そのためサービスの有効化はWebサーバの設定画面から(画面=中央)。WebDAVに限らず、CIFS、NFSも含めてアクセスコントロールは一括して共有フォルダの設定画面から行う(画面=右)

  • iSCSIターゲットの機能拡張

 iSCSIターゲットでは冗長化構成に関する機能拡張が行われ、SPC-3 Persistent Reservation、MPIO(マルチパスI/O)、MCS(複数接続セッション)に対応した。企業レベルのニーズにも十分応えられる拡張だが、MCSなどはホームユースでも利用可能だ。

  • DFS(Distributed File System)のサポート
「フォルダ集約」は複数のファイルサーバの共有フォルダを1つの共有フォルダ以下に集約することができる機能だ。ただし、利用時にはアクセス権限に注意が必要だ

 管理画面上ではフォルダ集約と表記されており、ローカルネットワークにあるほかのPCやNASの共有フォルダを、TS-639Proのポータルフォルダとして一元アクセスできるようにする。ネットワークドライブの割り当てを行う場合、「サーバ名\共有フォルダ」に対してドライブを割り当てる。そのため、TS-639ProのようにPublic、Qmultimedia、Qdownloadなど複数の共有フォルダを持つサーバは、それぞれに対してドライブを割り当てる必要がある。フォルダ集約を利用すれば1つのドライブの下にそれぞれの共有フォルダを配置することもできる。

 \\サーバ名で始まるUNC表記が利用できないアプリケーション、あるいはNAS上のフォルダをカレントフォルダとしたい場合など、ネットワークドライブの割り当てを行う必要があるときに便利な機能だ。

  • バグフィックス

 以下のバグが修正されている。

1、状況によってiSCSIプロセスが100%近いCPU使用率となってしまう問題を修正

2、ファイルシステムにEXT4を使用しているときエクスプローラを使ってコピーすると不安定になる問題を修正

3、システム再インストール中に、TwonkyMediaのメディアフィードの機能しないメニューを削除

4、iSCSIのACLによるCHAP認証失敗を修正

5、Firefox上のiSCSIオンラインヘルプリンクを修正

 今回はコンポーネントのアップグレードも含め、盛りだくさんのアップデートとなっているが、いったんアップグレードすると3.1.2以前に戻すことはできなくなる。必要性を考慮したうえでアップグレードをするかどうか検討してほしい。なお、原稿執筆中の2010年1月28日に新ファームウェア 3.2.2 Build0128も登場している。こちらは新機能のないマイナーバージョンアップだが、リモートレプリケーションでタイムアウト、リトライ間隔、リトライ回数が指定できるようになったほか、多くのバグフィックスが含まれている。

TS-639Proに用意されたホームサーバ向け機能

 TS-639Proをセットアップすると、あらかじめいくつかの共有フォルダが作成される。これらはユーザーが自由に利用することもできるが、TS-639Proの豊富なサーバ機能のためにも利用される。

 TS-639ProをNASとしてだけ使うのはもったいない。処理能力の高さに加え、低消費電力/低待機電力のため低コストでの24時間稼働が可能であることから、ホームサーバとしての高いポテンシャルを秘めている。これを生かさない手はない。

 QNAPのNAS製品はローエンドからハイエンドにいたるまで、ホームサーバとして重宝するさまざまな機能を有している。今回は単なるNASに収まらないその豊富な機能を各フォルダごとに見ていくことにしよう。

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