震災以降、計画的、突発的な停電への対策は必須となった。データセンターに収納されているサーバであれば、センター自身が自家発電によって対策しているが、サーバがオフィスの一角に設置されている場合は、管理者自身が対策を講じる必要がある。もちろん、企業にっっては、停電以前に“節電”も重要なポイントだ。個別のPCは各利用者が自身で対応すればよいが、ファイルサーバなどの共有サーバは、基本的に管理者が対応しなくてはならない。とはいうものの、小人数のオフィスではサーバ操作ができる管理者が1人しかおらず、個人の都合によって対策に支障を来たすこともある。
QNAPのTurboNASシリーズには、このような停電、節電に対するさまざまな機能が用意されており、管理者の負担を減らし、より柔軟に運用することが可能だ。
まず、計画停電やビルの法定点検による停電のように事前にスケジュールが明確になっている場合を考えてみよう。この場合は電源オン/電源オフの再起動スケジュールを利用する。停電が実施される前にシャットダウン、停電終了後に電源オンとなるように設定すればよい。
スケジュールは毎日/各曜日/平日/週末、という指定なので、停電実施1週間前から各曜日で指定し、停電終了後にスケジュールを削除しておく。このスケジュール機能は節電にも利用できる。バックグラウンドで動かす処理がなければオフィスが無人になるときにTurboNASを起動させておく必要はない。
一方、突発的な停電に対してはUPSが有効だ。UPSは大型のバッテリーを内蔵し、通常はコンセントから得た電力で充電しつつ、接続されている機器に電力供給する。停電時にはバッテリーからの供給となるが、一般にバッテリー駆動を前提としていない機器をいつまでも駆動させられるほど大きな容量ではない。そのため、UPSの利用目的としては1秒〜数秒以下程度の瞬間的な停電(瞬断/瞬停)時にサービスを停止させないようにすること、それ以上の長期停電の場合は正常な手順でシャットダウンを実施するとともに、処理が完了するまでの電力を供給することが一般的だ。
TurboNASシリーズではAPCやCyberPowerなどが販売するUPSに対応しており、AC電源遮断後、何分でシャットダウンを行うか、また、AC電源回復後に再起動するかどうかを設定できる。TurboNASが複数台ある場合にはネットワークUPSサポートを利用すれば1台のUPSで複数のTurboNASをシャットダウンさせることも可能だ。対応機種の1つである「APC ES 550」は9000円程度から手に入るので、是非導入しておきたい。
停電後にはサーバを起動しなければならない、ということも当たり前ながら重要なことだ。前述したように、あらかじめ設定したスケジュールやAC電源回復時といったイベントをトリガーとして電源をオンにすることはできる。だが、本来のスケジュールよりも早く起動させたいとか、休日出勤したらTurboNASが起動しておらずファイルサーバが使えなかった、ということも起こりうる。もちろん、都度管理者が対応すべきことであるが小規模オフィスではそれが難しいこともある。
TurboNASでは技術者でなくてもある程度簡単に電源オン/オフができる。筐体がオフィス内からアクセスできるところにある場合は単純に電源ボタンを使用すればよい。電源オフの場合は長押しになるが、PCと同様なので特に混乱することもないだろう。TurboNASが施錠されたラックなどに収められている場合はWake on LANを有効にしておけば同じネットワークに属しているPCから起動させることができる。
なお、このような「一般ユーザが電源をオンにできる」というのはセキュリティ上問題となる場合もある。オフィスの状況、セキュリティ基準を考慮した上で運用方針をまとめておく必要があるだろう。
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