フォステクスは、金属筐体(きょうたい)とMMCXコネクターによる着脱式ケーブルを採用したカナル型イヤフォン「TE-05」を参考展示した。5月の「春のヘッドフォン祭」でも参考展示していたものだが、今回はパッケージを含め、製品に極めて近い形での展示となっている。
シンプルな円筒形の筐体はアルミ削りだし。実は、同社のUSB-DAC兼ヘッドフォンアンプ「HA-A8/A4」のボリュームノブを意識したデザインになっていて、ユーザーにとっては気になる製品になるかもしれない。
ドライバーは、8ミリ径のダイナミック型ユニット1基というシンプルな構成で、ダイナミック型ならではの低域を生かし、下から上までバランスのとれた音を目指したという。2014年1月下旬の発売を予定しており、想定価格帯は1万5000円前後。既存モデル「TE01」「TE02」の上位に位置づけられる。
また、春のヘッドフォン祭で予告した通り、同じ筐体を使ったBA型のイヤフォンも計画中だ。こちらは春先をメドに製品化する見込みで、あわせてリモコン付きや音質にこだわったケーブルなどリケーブル関連製品も展開する。ドライバーの違いによる音の違いに加え、ケーブル交換による音の変化も楽しめるラインアップになりそうだ。
ラトックシステムは、開幕直前にリリースしたバランス駆動型のポータブルヘッドフォンアンプ「REX-KEB02AK」を展示した。
「REX-KEB02AK」は、加ESS Technologyの「ES9018K2M」を採用したDAC搭載ヘッドフォンアンプ。192kHz/24bitまでサポートする同軸/光デジタル入力を持ち、デジタルで受け取ったソースをD/A変換からヘッドフォン出力までを左右独立させて行うフルバランス構成回路を採用している。いわば、ハイエンドオーディオの技術をポータブルの筐体に詰め込んだ製品で、同社では「これまでのポータブルオーディオ機器を凌駕するハイレゾ音楽の再生を楽しむことができる」と胸を張る。
とはいえ、ポータブル機器を前提にすると、光/同軸デジタル出力を持つハイレゾ対応プレーヤーは、アユートの“Astell&Kern”「AK100/AK120」やヒビノインターサウンドとiBasso Audioの「HDP-R10」など数少ない。また、ヘッドフォン/イヤフォンをバランス駆動にするには、ケーブルの交換もしくは改造(自己責任で)が必要になるため、かなりニッチな製品であることは間違いないだろう。
ラトックシステムによると、今回の製品はアユートからの依頼で開発したもの。「AK120/100」との組み合わせを想定しており、販売もアユートが担当するという。とくにAK100シリーズのユーザーにとっては、最近人気のESS製DACの音をバランス駆動という“プラスα”付きで楽しめる、面白いオプションとなりそうだ。
もちろん、一緒に持ち歩くと総重量は増えるが、電気を食うDACが外に出せることでAK100側のバッテリー寿命が延びる可能性もある。事実、今回視聴に使った「HDP-R10」は、普段はカイロ代わりになるほど熱を発するが、「REX-KEB02AK」との組み合わせではほとんど熱くならなかった。
ちなみに手持ちのHDP-R10で試聴したところ、もともとDACが同系統というか、新DACのベースになった「ES9018」を搭載しているためか、音色傾向はそのままで、違和感なくバランス駆動のクリアでセパレーションの良い音を楽しめた。2台持ちの重さを気にしない人には魅力的だと思う。
PCオーディオの動きが影響したのか、PC用周辺機器メーカーにも“音”に注力する動きが出てきた。ゲートが展示していたデンマーク「Steel Series」は、PC周辺機器メーカーの中でも「音響面に力を入れているブランドの1つ」(ゲート)。イヤフォンには、バランスド・アーマチュア型ドライバー(シングル)のモデルもラインアップしている。
「Siberia Elite」(シベリアエリート)は、その名前にふさわしい真っ白いヘッドフォン(マイクを付けてヘッドセットにもなる)。PCとはUSBで接続し、専用ソフトとDSPを組み合わせてバーチャルサラウンドなどを利用できる多機能機だが、実際に試聴した音はあまり加工した印象を受けない素直なもの。PC用にありがちな強調もなく、音楽再生にも違和感なく使えそうだ。ふかふかのイヤーパッドも好印象。
ただ、ハウジングにLEDのイルミネーションが埋め込まれているあたりは“いかにもゲーマー向け”で、好みは分かれるだろう。オーディオ用というより、“音楽も聴けるゲーム用ヘッドセット”を探している人には良い選択肢になるかもしれない。
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