アユートは7月19日、「ポタ研」(フジヤエービック主催)の開幕に合わせてiriverが開発中のネットワーク対応SSDプレーヤー“Astell&Kern”「AK500N」を公開した。発売時期などの詳細は未定だが、これまでのポータブル機メインの製品展開から家庭用の据え置き型オーディオへのラインアップ拡充を強くアピールした。
AK500Nは、5月に独ミュンヘンで開催されたハイエンドショウで披露されたネットワーク対応プレーヤーだ。AK240をほうふつとさせる近未来的な外観は、AK240と同じデザイナーが手がけたもので、キューブ型のボディーにスロットイン式のCDドライブと可動式の7インチ液晶パネルを搭載した。背面には各種入出力端子とともに無線LAN(2.4GHz)アンテナを備えた。
CDを入れると、内蔵の1TバイトSSDにリッピングし、Gracenoteから楽曲情報を取得。PCなしでリッピングからCDの管理、再生までを行える仕組みだ。保存時のフォーマットはプロトタイプではWAVのみだが、製品版ではFLACやAIFFなどもサポートする見込み。ただし、このドライブで直接CDは再生できず、CDはすべて本体内に保存してから再生することになる。
操作は液晶画面のタッチパネルがメインになるが、同社ではiOS/Android用のリモコンアプリ開発も検討中。さらに本体操作で音楽配信サイトからハイレゾ音源ファイルを購入することもできるようにする計画もあるという。「韓国内では(AKシリーズ向け)ストア機能で楽曲購入まで行える。この機能は追加していきたい」(同社)。
ほかにも最大192kHz/24bitのPCM音源やDSD 5.6MHzまでの再生が行えるUSB-DAC機能、スマートフォンやポータブルオーディオプレーヤーを接続できるUSB端子、バランス出力対応のプリアンプ機能、MQSストリーミングサーバ機能などを搭載。DLNAにも対応するというが、サーバ/クライアントのどちらになるか(あるいは両方か)は未公表だ。
アナログ出力はXLRバランスとアンバランスが各2系統。デジタル出力はAES/EBU、光デジタル(S/PDIF)、同軸デジタルなどとなっている。また内蔵ストレージは、背面のUSB端子を使って増設も可能で、同社では同じデザインの外付けストレージ(3Tバイト)やパワーアンプを開発する計画も持っている。先日、中国で開催されたオーディオショウでは、AK500Nの下に同デザインのパワーアンプ、3Tバイトの外付けSSDを積み重ねたコンセプトモデルも公開している。
残念ながら試作機の調子が悪く、発表会で実際の音を聴くことはできなかったが、同社によると「音の傾向はAK240と共通だ」という。
発表会であいさつに立ったアユートの渡辺慎一社長は、2012年に発売した「Astell&Kern」ブランドの第1弾「AK100」から製品を振り返り、「ポータブル市場では一定の成果が出た」と評価。さらに次のステップとして、“家の中でも良い音を楽しめる”据え置き型の提案を強化していく方針を明らかにした。「デジタルオーディオ生活の幅を広げたい。ハード、ソフト、サポートを3本柱に開発を進める」(同氏)。
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