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ハイレゾでストレス軽減? 「耳で聴くだけではダメ」と専門家脳機能を活性化(2/2 ページ)

» 2015年08月03日 15時00分 公開
[村上万純ITmedia]
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ストレス社会を生き抜くための音環境作りとは

 本田氏は、ハイパーソニックの健康・医療分野への応用についても言及した。「薬を飲まなくても音を普段から聴くことで病気の予防や治療に役立つよう、投薬と同じレベルで安全性を検証するなどの臨床実験や研究を進めていく」という。具体的には、うつ病、統合失調症、不安障害、高血圧、肥満、認知症などへの効果を期待するとしている。

photo 予防・治療が期待できるという疾病一覧

 本田氏によると、都市は高周波が欠乏しており、テレビの周波数帯域は8〜1万Hzほどで、道路工事の騒音でも2万Hz以下だという。日本では茨城県つくばで5万Hz以上の音を計測できたが、「多種多様な昆虫がいる熱帯雨林の環境音が超高周波を豊富に含む」と本田氏は説明する。会場ではボルネオ島で録音してきた音源を特製スピーカーで再生しながら講演が行われ、音を止めるとどこか圧迫感があった。環境音という面から見ても、現代社会はストレスにあふれているのかもしれない。

photo 会場に設置された特製スピーカー

 これまで彦根市で音環境をハイパーソニックで快適化する実験を行っており、「脳機能の活性化、ストレス低下、免疫力増強、快適性向上などの効果が見られた」と本田氏は報告した。熱気を帯びた会場からは「ハイパーソニックを利用すれば頭が良くなるのか」「ボルネオ島の音源や特製スピーカーは購入できるのか」など矢のように質問が飛んでいたが、「直接的に学習機能を向上させる効果はなく、音源やスピーカーの販売も今のところ予定はない」という。音楽への関心・感度が高いハイレゾ塾の観客のみならず、ストレスフルな現代社会に生きる我々にとっても身近に感じる研究内容だといえよう。

photo 彦根市で環境音作りの実験を行った
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