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料理を失敗しないガスコンロ、スマホと連携するリンナイ「デリシアシリーズ」を体験した山本敦の「体当たりッ!スマート家電事始め」(4/4 ページ)

» 2016年09月23日 19時55分 公開
[山本敦ITmedia]
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あまりに多彩な機能。上手に使いこなせるようになるためには

 デリシアシリーズは毎日キッチンで過ごす時間に確かなゆとりを与えてくれる。短い時間にデモンストレーションを体験した限りだが、その実力は十分に推し量ることができた。反対に、スマート家電としては現状まだ物足りなく感じる部分もある。

3つのコンロとグリルで調理中の状態が液晶上で一斉にモニターできる

 まず、できることがあまりに多彩ゆえに、ユーザーがそれを使いこなせるよう、もっとガスコンロがおせっかいをやいてくれても良いと思う。デリシアシリーズはとても無口なスマート家電だ。例えば米を炊く時には、鍋に火を入れて、途中蒸らしの工程に入ったときと、炊き上がりのタイミングに音声ガイドとアラームを鳴らしてくれるが、あとは余計な音が鳴らない。液晶モニターにも火加減や調理時間は表示されるが、それ以上に解説などの文字情報も出てこない。マイペースで落ち着いて料理ができるといえばそうなのだが、もう少しせっかくの便利機能を使うようにプッシュする要素があってもいいと思う。

 例えば作ったことのない初めてのレシピに挑戦する際には、料理の前段階、具材の仕込みや鍋の水の張り方までコンロが音声でアドバイスを語りかけてくれたり、いまどんな火加減で調理しているのかなど、うんちくめいたものをお料理ロボットのように語りはじめればキッチンで過ごす時間が賑やかになる。フルオートで手間なく料理ができあがるのは便利でいいのだが、結局料理は自分の腕前が向上するから楽しいという側面もある。ユーザーの向上心を刺激するように、トレーナー的な立場で支えてくれるガスコンロがいれば頼もしいパートナーになってくれそうだ。

スマート機能の使いこなしは、やっぱりアプリが鍵をにぎっている

 そしてあまりにたくさんの機能があると、その中から自分が求めているものを探し出すだけでもおっくうに感じてしまうもの。スマホアプリが時おり、デリシアシリーズの賢い使い方をプッシュ通知してくるような仕掛けも欲しい。

 余談だが、ソニーが「IFA2016」で発表した最新Androidスマホの「Xperia XZ」「Xperia X Compact」には、Xperiaに搭載されている多彩な機能を埋もれさせることなく、ユーザーが上手に使いこなせるよう使用シーンなどに応じた使い方を提案する「Xperia Tips」というアプリが搭載される。思えば今どきのスマホにはあまりに沢山の機能が乗っていて、その多くが眠ったままで使われていないことが多い。ガスコンロはスマホに比べればそもそもの用途がぐっと絞り込まれている家電だが、せっかく多機能化を実現しても使われなければ寂しいので、リンナイのホームページで繰り返し告知をしたり、ユーザー体験イベント実施するなどアナログ的な手法からでも徹底的にアピールすべきだろう。

 そして新開発のスマホアプリについては、毎週単位で新しいメニューが追加されること以外にも、ユーザーが毎日使い続けたくなるような刺激を盛り込みたい。今後の機能アップデートなどにより、ユーザーがメニューに並ぶ料理を作ってみた時の感想を投稿したり、自分のレシピを披露する機能なども欲しい。外部SNS機能との連携や、eコマースのプラットフォームと連携しながら、メニューに必要な食材をオンラインショップからお取り寄せができるようになれば、アプリを手放したくなくなる。

 ガスコンロというものは、調理を1から10までサポートしてくれるようなスマート家電である必要は本来ないのかもしれない。だからリンナイのデリシアシリーズが、調理の際にユーザーの頭を悩ませがちな「最適な熱のコントロール」を賢くサポートしてくれるだけでも、十分にスマートな家電であるといえる。ただ、もしこれからキッチンにもネットワーク対応の家電が増えて、それぞれがコネクトしてできることが増えたときに、ガスコンロも豊かなキッチンライフを賢くサポートしてくれる司令塔になれる可能性も感じただけに、もっと賢いキッチンの未来図に期待が膨らんでしまった。今回、デリシアシリーズを体験してみて感じたインパクトが大きかったからだ。

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