「火力を上げただけですと、どうしてもお米のある場所によって、熱の入り方にムラが生じてしまいます。このため、予熱途中で加熱を止め、冷やすことが実は重要なのです。イメージでいえば、煮物やおでんなど、温度が下がっているときに味がしみこむのと同じ原理です。また、この時に本炭釜であるからこそ、急激に熱が落ちるのではなく、ある程度全体をしっかりと加熱しながら釜内の温度を落とすことができるので、まんべんなく全体へと加熱できるのです」
炭を釜の素材に使用した場合、IHコイルに電流を流すことで発生した磁力線が、素材の中に深く浸透する。その深さは10mm前後。これに対して、一般的なステンレスでは0.24mmしか浸透しないという。熱源であるIHの磁力線が釜に浸透する深さが、炭釜はステンレスに比べ約40倍、さらには電気抵抗で約16倍、熱伝導率も約4倍と本炭釜が優れている。つまり、炭は加熱効率が良く、釜厚全体が一気にかつ均一に発熱させ、かつ保温性にも優れている。炭釜というものは白米だけでなく、玄米を美味しく炊くのにも重要な役割を果たしているのだ。
本炭釜は“量産”といっても基本的に手作り。1つの釜は3回も焼く必要があり、さらに最終のコーティング、シリアルナンバーのレーザー刻印まで含めると、量産当初は4カ月半もの時間が必要な手間のかかるものであった「だからこそ、この『玄米芳潤炊き』モードは三菱電機オンリーワンな炊飯機能だと自負しています。また、炊きたての状態はもちろん冷えても美味しいですから、玄米のお弁当やおにぎりにもぜひ活用してもらいたいです」
さらに、本炭釜 KAMADOには「玄米芳潤炊き」と並び、より美容を意識した「美容玄米モード」も用意している。これは美容に役立つ成分を効率的に摂取するモード。玄米に多く含まれるビタミンB1は、皮膚や粘膜、髪の健康を維持する働きがあり、不足すると肌荒れの原因になるという。脂質の代謝を促す働きがあるのでダイエットには欠かせない栄養素だ。そして、ここでも重要となってくるのは予熱時の温度上昇だと金井氏は話す。
「『玄米芳潤炊き』ほど一気に温度を上昇させてしまうのではなく、予熱時には50℃くらいまで緩やかにあげていき、そこから一気に沸騰させ、水分を蒸発し、短時間で炊き上げます。これは玄米に豊富に含まれるビタミンB1の残存量を少しでも増やすための温度の上げ方を実現しました」
実際に「ふつう炊き(A)」「玄米芳潤炊きモード(B)」「美容玄米モード(C)」で炊いた玄米を食べ比べてみた。「ふつう炊き(A)」はやや固く、お米の粒感とともに玄米特有の歯ごたえがあったが、「玄米芳潤炊きモード(B)」は大げさではなく、白米に近いみずみずしい食感となっており、口の中に香りも広がる。「美容玄米モード(C)」はどちらかといえば「ふつう炊き(A)」の食感に近かった「玄米=美味しくない」というイメージを、自らの炊飯器で実現した温度管理技術と本炭釜というオンリーワンの素材で打ち破ろうとしている三菱電機。栄養価の高い玄米を美味しく食べたい、健康食としても継続的に生活へと取り入れたいと考えている人は、一度ぜひ食べてみてほしい。
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