その形状がカシオ製の「A5401CAII」と酷似していること(の記事参照)も話題になっているW21H。これについては「タイミングを重視して苦渋の選択もいくつかしています」と松長氏。
カシオとの関係は否定しないが、あくまで開発は日立。日立自身も他社にソフトやハードを提供しており、au端末で盛んになりつつあるソフト・ハードパーツの相互流通の一例だ。
「1X WINの端末ラインアップが少ないと盛り上がらない。早く揃えるよう急がなくてはいけない(1月30日の記事参照)。そのためにある意味、あきらめた部分もある」
1X WIN1号機「W11H」の発売からわずか3カ月。もちろん開発は並行して進められたが、開発リソースの分配の問題もあったのだろう。「コンセプトに合うものを急いで出すには、(デザイン的に似ることを)飲まざるを得なかった」。
必要な機能をしっかり盛り込んだ上で、いかに市場に早く投入するか──それがW21Hのミッションだ。通信チップセットはW11Hと同じ「MSM5500」。しかしW11Hやカシオの最新モデルが搭載しているアプリケーションプロセッサ「SH-Mobile」は搭載していない。「プロセッサが変わっている。しかもメガピクセル画像を送れるようにしなくてはならない。変えていく部分と(もともとのソフトを)引き継いでいく部分のバランスが重要だった」
「着うた」には当然対応し、ムービーの録画・再生はもちろん可能。GPS機能である「EZナビ」も利用できるが、EZアプリへはJava、BREW共に対応していない。W11HやW11Kで採用したダイバーシティも搭載を見送られた(2月13日の記事参照)。こうした機能の取捨選択は、開発期間短縮だけでなくコストにも反映されるようだ。1X WIN端末は2万円後半とau端末の中でも値が張るが、W21Hはかなり安価になる見込みだ。
ちなみにユーザーインタフェース(UI)は、ほぼA5401CAIIだと思っていい。従来の日立製端末とは使い勝手が変わるが、その点は松長氏はそれほど危惧していない。「KDDIは比較的UI系の管理をやっている。それを考えるとメーカー間をまたがったとしても、同じように使える」。メーカーによって操作系がマチマチな他キャリアと違い、au端末は基本的な操作をほぼ統一している。ユーザーは“慣れた操作法だから”といった消極的な理由で端末を選ばずとも大きな操作性の違いはない。
他キャリアに比べて端末機能がバラエティに富んでいること、ソフトウェアやハードウェアのメーカー間流通を実現しやすいことは、KDDIのUIに対する考え方が産んだものだともいえる。
「ただし気くばりスイッチを捨てたわけじゃない。日立の商標ですし特許、アイデンティティですから。W21Hにも載せたかったが今回は1回お休み」
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