国内利用の端末としては改善の余地も〜VGS対応の「V801SA」(2/2 ページ)

» 2004年03月08日 05時43分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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QVGAが生きる極小フォント表示、予測変換も使えるEメール機能

 もはや携帯電話の基本機能ともいえるEメールの使い勝手を見てみよう。V801SAは、地域は限定されるが海外でのEメール送受信が可能で、これが大きな特徴にもなっている。

 文字表示はQVGAディスプレイが生かされた仕様だ。4段階のフォントサイズのうち極小(12ドット)では18×14文字で1画面最大252文字の表示が可能。スクロールは1行、半ページ、ページ単位に対応している。

 フォントサイズは4段階。最小でも文字間隔に余裕を持たせており、情報量では少し損をしているが視認性は悪くない
 スクロールの単位も変更できる。描画は特に高速ではないが、半画面/1画面スクロールを使えば長文を読むのも比較的楽だ

 日本語変換は読み予測、次文節予測も行う「モバイルWnn V2」。読みを入力していくと、読み予測に従って第一候補がインライン表示され、下キーを押すとポップアップウインドウに候補一覧が表示されるタイプだ。変換操作中は左右キーで候補一覧のページスクロールも行え、数字キーで候補選択できる。さらに候補一覧中でも右ソフトキーで通常変換に移行することが可能だ。

 読みを入力するとまずインラインで第一変換候補が表示され、下キーを押すと候補一覧が表示される。次文節予測も行うので、頻繁に入力する文章はかなり高速に入力できる

 基本的に日本語変換の出来は良いが、気になるのはインタフェース。候補一覧表示中に、読みの続きを入力するには一度クリアキーを押して候補一覧を終了する必要がある。数字キーで候補選択する機能とのトレードオフとなるが、読み予測での候補が多すぎるので、「読みの続きを追加して候補を絞り込む」といった操作は少々面倒だ。

 受信したメールはフォルダ分けも可能で、メールアドレスに加え、件名での振り分けにも対応している。メールアドレスは完全一致だが、件名は部分一致での振り分けもでき、メーリングリストの振り分けにも使える。

 メールの送受信容量は、携帯電話としては現状最強といえる最大200Kバイト(本文と添付ファイルの合計)。受信方法も、受信通知のみ無料となる1通あたり先頭の384バイト分のみ受信する「先行受信」か、すべて自動受信かを選べる。先行受信時には、本文か添付ファイルかを選んで受信することもでき、「不要な画像は受信せずパケ代を節約する」といった使い方も可能だ。

 自動フォルダ分けではメールアドレスに加えて件名も条件に設定可能で、部分一致でも振り分けできる。先行受信したメールは必要なパートのみの受信も可能。複数の添付ファイルがある場合でも、特定のファイルのみを選んで受信できる

前面スピーカーが生きるテレビ電話

 現行のVGS端末ではV801SAのみがテレビ電話をサポートする。テレビ電話は3GPPで規格が定められており、基本的にはキャリアに関係なく発着信が行える。ドコモのFOMA「P2102V」「P900i」「F900i」との間でも、音声、映像共に問題なくテレビ電話でのやり取りが行えた。

 インタフェースはテレビ電話で先行しているFOMA端末とそれほど変わらない。ディスプレイには相手と自分を同時に表示でき、開いた状態ではアウトカメラを使って景色などを相手のディスプレイに表示させられる。

 初期設定では下の画面には自分の映像が映る。サイズを変更したり、相手の映像のみを表示することもできる

 テレビ電話で便利なのは前面配置のスピーカー。音の通りが良く音量も十分で、ハンズフリーでも聞き取りやすい。音量も9段階で細かく設定でき、状況に応じて適切な音量を設定できる。

 ただしテレビ電話の画質、つまりV801SAで撮影、エンコードして相手に表示される画質は今ひとつという印象だ。エンコードが間に合わないのだと思うが、それほど電波状態が悪くない場所でも、例えば首を振ったりすると相手側にはブロックノイズがひどく発生する。同様の現象はドコモのテレビ電話対応端末でも見られるが、発生頻度が高いように感じられる。

P2102Vに表示されたV801SAからの画像。いつもこうなるわけではないが、映像が乱れているのが分かる。同じソフトエンコードであるドコモの900iシリーズと比べてもエンコード性能は今ひとつといった印象

 カメラは、最大640×480ピクセルでの撮影に対応し、メモ代わりの日常的なスナップ程度なら実用的に使える。176×144ピクセルで最大40秒の動画を撮影してEメールで送信することも可能だ。サムネイル表示などもサポートしており機能的には水準に達しているといえる。画質は31万画素CCD相応といったところだが、海外から写メールできるのは、他の端末にはない魅力でもある。

 カメラ機能は可もなく不可もなくといったところ。日常的なスナップ中心ならそれほど不満は感じないだろう。一覧はサムネイル表示もサポートする
 640×480ピクセルで撮影した画像(クリックで生データへ)。少々ソフトフォーカス気味だが、31万画素カメラとしては平均的な画質

世界中で使える多機能ケータイ、改善の余地も

 国内で使う端末としての機能は、少し前のハイエンドモデルといった印象だ。カメラは、インカメラ、アウトカメラ共に31万画素CCDで、ディスプレイは2.2インチのQVGA液晶。256MバイトまでのSDメモリカードに対応した外部メモリスロットを装備、静止画、動画などを保存できる。シリコンオーディオプレイヤーとしても利用可能で、光入力で直接音楽を録音する機能も備えている。Vアプリが100Kバイト対応で、256Kアプリが使えないのは少々残念なところだ。

 基本的な部分での不満は、操作に対するレスポンスが今ひとつな点だ。メニューの起動がキー操作から数秒かかってしまったり、キー操作が無視されることもある。全体に緩慢というわけではないが、イライラさせられることも多い。メニュー背景をアニメーションさせるくらいなら、少しでもレスポンスを改善してほしいというのが正直な感想だ。

 メニュー背景は常にアニメーションしている。悪い機能ではないが、それよりは通常利用時のレスポンスを改善をしてほしいと思ってしまう

 海外利用の多いユーザーなら、これ1台で賄えることを考えれば魅力的な端末だが、国内利用が中心の場合には魅力が褪せてしまうのも事実だ。

 ボーダフォンの場合、PDCでも割引サービスが充実しているので、ドコモのように3G(FOMA)に移行すればパケット代が得になるといったメリットもそれほど感じられない。極論をいえば、そもそもテレビ電話以外にVGS端末に移行するメリットを見出し難いのだ。

 「海外で使いたい」「テレビ電話を使いたい」「独特のデザインに引かれた」というユーザーには悪い選択肢ではないが、それ以上の評価を下すのは難しい端末だ。

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