次世代EV-DO、ポイントは“放送モード”と“無線LAN”

» 2004年03月23日 16時36分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 auのネットワークは、「cdmaOne」を導入して以降、2002年4月に「CDMA2000 1x」、2003年11月には「CDMA2000 1X EV-DO」と進化してきた。

 NTTアドバンステクノロジ主催のシンポジウムで3月19日に講演した、auの無線アクセス技術部の渡辺文夫部長は、「EV-DOのエリアもあと1年ほどでほぼ全国ベースで行き渡る。その上に、もう一枚重ねようかなと、ぼちぼち準備を始めている状況だ」と話した。

ポイントは“値段”と“エリア”

 新しいシステムやサービスを考える上でのポイントの一つは“値段(パケット代)”だと渡辺氏。「インフラを作るときは、高速通信を作るのが目的ではなく、ビット単価が下がるかがポイント。下がるような方法を考える」と説明する。

 もう一つはエリアだ。「ここはユーザーからのクレームが来るところ。一度、基地局を打ったからといって安心、というわけではない。トラフィックが増えたり変化すれば、全国津々浦々で直さなければならない」。

 確かにcdmaOne、CDMA2000 1xへのネットワーク拡張は、後方互換性を保ちながら新しいシステムやサービスを導入する「連続的に薄皮を重ねていくような」アプローチ。カバーエリアを担保しやすく、新サービスへの移行もスムーズだった。

 そして2003年12月に導入されたEV-DOでは、携帯電話のパケットプランでは初となる「定額制」を導入。「速度はコマーシャルスペック的なもの。ビット単価をいかに下げるかが重要」というように、導入の最大の目的は、コストメリットを打ち出すためだったことを強調した。

 コストを下げられた要因の一つは、セクタースループットの効率化だ。一つの基地局に何台もの端末がアクセスしているとき、どのくらい伝送を効率化できるかが重要で、cdmaOneに比べて約3倍効率化できたことがコストを下げる原資になったという(2001年10月の記事参照)。「あとはネットワークをどれだけシンプルに作れるかが、コストを下げる原資になる」。

ダウンリンクオンリーではない、新マーケットを開拓

 EV-DOの展開がある程度見えてきたことから、KDDIは次の拡張に着手している。これまでの電話機型マーケットメインという形から、ビデオ電話やIP電話などのコミュニケーション系サービスや監視カメラなどのビジネスソリューション、同報・放送サービスなどの新しいマーケットを創出したい考えだ。

 そのために必要なシステム機能の強化点として挙げられたのは、「アップリンクの高速化」「無線QoS、end-to-endのQoS機能」「同報・放送無線機能」「IP伝送のさらなる高速化」など(2月13日の記事参照)。具体的な拡張のポイントとして示されたのは、“放送モード(Broadcast/Multicast service)”と“無線LAN”の2つだ。

 放送モードは、現在ひとつひとつの端末に対して配信しているEZチャンネルのようなコンテンツを、同じコンテンツなら同報で配信してしまおうというもの(2月13日の記事参照)。

 1キャリアあたりのスループットは200〜300Kbpsを目指し、最大12番組を放送できるような仕組みを検討中。ストリーミング放送だけでなく、「全体のファイルをとにかく送って、足りない部分は移動体でチャンネルを張って補完する」というカルーセル伝送(一定周期で同じ内容のデータを送りつづける技術)を用いたファイル転送も可能だという。「こういう話は標準と表裏一体なので、標準化が終わってから──ということになるが、今、標準化がほぼ完了した段階」

 もう一つは無線LANへのアプローチだ。cdmaOneの上に1X、その上に1x EV-DOが重ねられた上に、さらにワイヤレスブロードバンドが加えられた図を示し、「何らかのコンパチビリティやシームレス性を担保したようなものを作っていく」と説明した。「ぼちぼち準備を始めている状況」

無線LANをオーバーレイするアプローチが、どのような具体的サービスを前提にしたものかは明らかにされなかった

 ただし802.11b的なホットスポットを打っていくわけではなく、セルラーの基地局や、PHSの基地局を生かしたものになるようだ。「スループットはそこそこベストエフォートで落ちても仕方がない。ただ、全体の組み合わせとしてユーザーから見た使い勝手がレベルアップするような方式をとる」。

ネットワーク構成のイメージ図

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月11日 更新
  1. ソフトバンク、短期解約を繰り返す「ホッピングユーザー」を抑制 その理由は? (2026年02月09日)
  2. 楽天モバイル+ドコモ回線がセットの格安SIM「NYCOMO(ニコモ)」 月額4928円でデータ無制限+3GB (2026年02月10日)
  3. auの「iPhone 17(256GB)」、MNPとUQ mobileからの乗り換えで2年6400円に (2026年02月09日)
  4. Amazonで整備済み「iPad(第8世代)」128GBモデルが3万5800円 10.2型ディスプレイ搭載 (2026年02月09日)
  5. 「東京アプリ」で1.1万円分をゲット、お得な交換先はどこ? dポイント10%増量+楽天ペイ抽選が狙い目か (2026年02月05日)
  6. KDDI、「副回線サービス」の一部を8月末に終了 “Starlink”や“00000JAPAN”などの代替手段があるため (2026年02月11日)
  7. 財布に入る、カード型の使い切りモバイルバッテリー登場 発火リスクの低いリチウムマンガン電池を採用 (2026年02月09日)
  8. Googleが台湾のPixel開発拠点を公開 「10 Pro Fold」ヒンジ開発の裏側、“7年サポート”を支える耐久テスト (2026年02月09日)
  9. 「MNP短期解約を対策してほしい」――携帯4キャリアが訴え 電気通信事業法のルールが足かせに (2026年01月20日)
  10. IIJmio、mineo、NUROモバイル、イオンモバイルのキャンペーンまとめ【2月10日最新版】 お得な月額割引や激安スマホも (2026年02月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年