ポスターや雑誌などに埋め込んだ電子透かし情報をケータイカメラで撮影、メールで送ると詳細な情報へのアクセス先がメールで届く──。こんなシステムを実現するのが、ブロードバンドフォーラムが推進するマーケティングツール「パ写WARP」だ(2003年10月の記事参照)。
面倒なURL入力を行わずに情報を入手できるようにするこのツールについて、ブロードバンドフォーラムは4月1日からフィールドトライアルを開始。その結果を元にビジネスモデルを構築し、商用化したい考えだ。
フィールドトライアルには第一興商、ニッポン放送、ANAビジネスクリエイト、ぐるなび、日本ヘラルド映画、ソニー・ピクチャーズエンタテイメント、アテナ、NTTカードソリューション、NTTアドらが参加する。
携帯電話で簡単に情報を入力する仕組みとしては、QRコードや空メールなどがある。ただ、QRコードは、まだ普及途上で端末を選ぶ上、コード自体が印刷物のデザインを損なうという問題点がある。また空メールは、製品やプロジェクトごとに提供者側がメールアドレスを用意しなければならない。
パ写WARPは、印刷物の中に比較的デザインになじませた形でのすり込みが可能なため、違和感のないデザインに仕上げられる。また、カメラ付きケータイであれば利用できるので、現段階で対応する携帯電話の数も多い。ケータイカメラで撮影する場合、128×128ピクセルあればサーバ側で判別できるといい、11万画素、31万画素カメラの携帯でも利用できる。
送り先のメールアドレスが1つなのも特徴の一つだ。送られてきた写真内の透かしで提供する情報を判別できるため、新しいポスターなどを用意した場合にも、提供者側が新たにメールアドレスを用意する必要がない。
ただ、商用化に向けてはいくつかの課題も残されている。一つは携帯カメラの機種や、撮影環境によっては透かしを判別できないこともある点だ。「駅貼りポスターだったり、日中や夜間の屋外など、さまざまな環境条件もある。サーバ側の透かし認識の精度を上げるなどの方法で対応を考えている」
また、ビジネスモデルの確立もこれからだ。透かしを生成するソフトの提供方法や、どこからどのような形で収益を得るのかといった点は、4月からのマーケティングトライアルの結果を見ながら検討していくという。
「販売促進用途やイベント・キャンペーン用途、会員管理など、さまざまな用途が考えられる。得られた会員情報をマーケティングデータとしてどのように生かすかも含めて検討していきたい」
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