バーチャルキーボード(virtual keyboard)は仮想キーボードとも呼ばれる。いわゆるハードウェアとしての入力デバイスであるキーボードを“仮想的に”実現する機能、および製品を指す。
携帯電話やPDAなどの、本来キーボードを持たない端末に外部キーボードを接続する場合もバーチャルキーボードと呼ぶことがあるが、ここ最近は机上にキーボードの映像を投影するものがこう呼ばれている。ちなみに、PDAの液晶画面(タッチパネル)上にキーボードを表示させる機能はソフトキーボードと呼ばれ、バーチャルキーボードとは区別されている。
投影式のバーチャルキーボードが知られるようになったのは、米Canestaによって開発されたデバイスがきっかけ((2002年9月24日の記事参照))。その後、同社製品の採用をNECが検討する(2002年10月28日の記事参照)などして話題を集めたが、残念ながら商品化にはいまだ至っていない。現在では松下電器産業の子会社であるピンチェンジも、米VKBの技術協力を得ながらバーチャルキーボードの開発を行っている。
バーチャルキーボードの仕組みは、デバイスから出力される赤色の半導体レーザーを使って、フルキーボードの形状を机の上に投影し、PC並みの操作性を持った入力デバイスを仮想的に作り上げる。投影された個々のキーを指でタッチすると、デバイスに内蔵された赤外線センサーがそれを感知し、キータッチとして認識するというもの。機械的に動作するキーがないため、ハード故障の確率は少なくなる。もちろん作業中にコーヒーをこぼすなどの心配も無用だ。
当初の商品は、情報端末にケーブルで接続する周辺機器として登場する予定だが、デバイスの小型化による端末への内蔵も視野に入っている。特にキー入力のスピードで他の端末より不利な立場にある携帯電話にとって、バーチャルキーボードの実現に対する期待は大きい。
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