携帯電話がiモード登場に匹敵する変化を迎えようとしている。非接触ICチップ──FeliCaの搭載だ。
旗振り役であるドコモは、FeliCa搭載を音声通話、iモードに続く、今後5年の主役だと位置づけている。「次の5年間で生活インフラとしての携帯電話を作りたい。大きなきっかけがFeliCaだ」と、iモード企画部長の夏野剛氏は話す(2月20日の記事参照)。
まだ具体的な端末やサービスが明らかになっていない状態だが、その可能性の一端を見ていこう。
そもそもFeliCaとは何か。JR東日本の「Suica」やビットワレットの電子マネー「Edy」といったサービスが動いている基盤となるもの──それがFeliCaだ。周波数13.56MHzの近距離無線を使った非接触ICチップで……。こういう説明では、分かるものも分からなってしまう。要するに、無線を使ってデータをやり取りする規格の1つ──それがFeliCaだ。
iモードFeliCa発表当時、FeliCaは国際標準規格ではなかったが、国内・海外含め交通系(JR東日本など)や電子マネー(Edyなど)に広く採用された実績があった。
では、FeliCaとSuicaやEdyの関係はどうなるのか。プレイステーションのゲームを例に考えてみれば分かりやすい。FeliCaがプレイステーション、SuicaやEdyが各ゲームに当たる。だから“携帯にFeliCaが載る”というのは、携帯にプレイステーションが入って、その上で動くゲーム=SuicaやEdyが使えるということだ。
携帯がSuicaやEdy代わりになる──といっても、それだけではメリットが分かりにくい。別にカードを持ってもいいし、どうしても内蔵したいなら、カードを携帯に貼り付ければいいではないか?
この疑問の答えは、FeliCaがマルチアプリケーション対応だということにある。つまり、1つのFeliCaでSuicaやEdyなどいろいろな機能が使える。新しいゲームを買えばプレイステーションでさまざまなゲームができるのと同じだ。
ところが、従来のカード型FeliCaではあとからアプリケーションを足すのが簡単ではなかった。1つのゲーム専用のプレイステーションを使っているようなものだ。SuicaにEdy機能は足せないのがカード型の限界だ。
携帯にFeliCaを組み込めば、アプリケーションは後からダウンロードして追加できる。「Suicaアプリケーション」や「Edyアプリケーション」をダウンロードするだけで、機能を追加できるわけだ。
iモードFeliCaには、このアプリケーション領域が5Kバイト用意されている(2月19日の記事参照)。通信機能を生かしてFeliCaアプリケーションをダウンロードすることで、次々と機能を追加(入れ替え)していけるわけだ。
もちろん、液晶画面を生かしてアプリケーションのデータを閲覧──例えばSuicaの乗車履歴を見るなど──できるのも、携帯電話ならではの特徴だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.