携帯、300万画素の可能性(2/2 ページ)

» 2004年05月21日 23時15分 公開
[斎藤健二,ITmedia]
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 高画素・高機能カメラの利用法が確立していない一方で、カメラ画素数の向上がユーザーに望まれているのも事実だ。ある高画素カメラ付き携帯メーカーは、画素数の向上は印刷ニーズの盛り上がりに応えてではなく、「1つには安心感。写真を撮るときに高画素のほうが安心できる。2つ目はやはりスペック上、目を引き、販売につながること」だと話す。

 キャリアが販売補助金を出す日本の携帯販売方式では(2002年3月18日の記事参照)、高機能な端末が高い値段で売られるわけではない。もちろん端末メーカーのコスト削減の努力あってのことだが、「どうせ同じ値段なら、高画素の端末を買おう」と思うユーザーがいるのも確かだ。

 課題は、どうやって高画素のカメラを活用してもらうかだ。100万、200万画素のカメラを搭載していても、実際に撮るのはVGA(31万画素)──そんなユーザーも多い。

高画素カメラを“使ってもらう”ための工夫

 “撮影した画像を印刷するわけでもない”ユーザーに、高画素モードを使ってもらうにはどうしたらいいか。

 まず1つは、起動や画像保存にかかる時間が画素数によって大きく変わらないことだ。保存時間が何秒もかかるようだと、高画素モードで撮影する気にはならない。秀逸なのはカシオ製端末。200万画素で撮影した画像を保存するときも、ほぼ瞬時に書き込みが終わる。これは320万画素CCDを搭載したA5406CAでも同様だ。

 2つ目は、画像のリサイズ処理が簡単で充実していること。携帯カメラで撮った画像は印刷するだけでなく、メール添付したり壁紙に使ったりといろいろな用途に使われる。「高画素モードで撮ったのはいいけど、メールで送る方法が分からない──」。そんなユーザーも多い。シャープ製ドコモ端末のように、どんな解像度で撮影しても、メール添付時に自動的にリサイズしてくれれば分かりやすい。高解像度になればなるほど、こうした需要が増すはずだ。

 3つ目は、再生時の拡大ズーム機能。低画素カメラの評価として「メモ代わりには使える」という言い方をよく見るが、これは逆だ。少なくとも200万画素程度の画素数がないと画像メモとしてカメラを使うのは難しい。逆に、200万画素+オートフォーカス機能があれば、名刺でも雑誌記事でも(デジタル万引きにならないよう、気をつけよう)撮影しておけばあとで閲覧できる。その際に、ぜひ欲しいのが再生時の拡大ズーム機能。携帯の画面は11万画素程度の表示能力しかないため、高画素で撮影した画像メモを閲覧するには、スムーズで高速なズーム機能、スクロール機能が必須となる。こちらもよくできているのはカシオ製端末だ。

 趨勢としては100万画素で一息ついた携帯カメラだが、高画素化の可能性はまだまだ残っている。横並びで進化してきた携帯だが、成熟に伴って多様化する傾向にある。それを顕著に表しているのがカメラだともいえるだろう。

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