最も気にかかるところは、「Nokia Audio Manager」だろうか。Nokia Audio Managerでは、MP3またはAAC形式の音楽ファイルをNokia 7600へ転送したり、音楽ファイル再生やプレイリスト編集などの簡単な管理を行える。実際に、MP3ファイルを転送してみたが、200〜300Kbps程度のVBRファイルでもきちんと再生可能で、付属イヤホンによる音質もさほど悪くなかった。カーソル上下で前後の曲へジャンプ、押しっぱなしで早送り/早戻しもできる。その際、音はいちおう出るが滑らかではなく、5〜6秒ごとのスキャンという感じだ。ボタン操作したときに、「ブツブツ」と小さなノイズが乗るのが少し気になった。
ただし、内蔵メモリが30Mバイト程度で、外部メモリ用スロットがないのが難点。携帯音楽プレイヤーの代わりに使うのはかなり苦しい。それでもどうにかして使いたいというなら、普段利用しているよりもビットレートをかなり落としたMP3またはAACファイルを別途用意する必要があるだろう。
ちなみに、Nokia Audio ManagerではCDからリッピングしてAACエンコードを行うことも可能だ。その際、品質は「最高品質」「超高品質」「高品質」「通常品質」「携帯電話に最適化」「最低限の品質」の6段階から選べる。試しに、46MバイトのCDオーディオファイル(4分半)を、「最高品質」「通常品質」「携帯電話に最適化」の3パターンで圧縮させてみたところ、それぞれ7188K、3242K、2161Kバイトとなった。
Nokia 7600を携帯音楽プレイヤーとして利用するなら、「通常品質」「携帯電話に最適化」あたりに設定して、40〜50分程度の音楽ファイルを保存しておくのが現実的だろうか。当然ながら、この圧縮設定では音質や分離はあまりよくないが、なんとか我慢できるレベルにはとどまっている。
そのほか、「画像の編集」(Nokia Image Converter)では壁紙やカットアウトカバーの作成、「マルチメディアの表示」(Nokia Multimedia Player)ではPCや携帯電話内のオーディオファイル、ビデオファイル、画像ファイルなどの再生が行え、「サウンドの編集」(Nokia Sound Converter)ではGeneral MIDIファイルをScalable Polyphony MIDI形式に変換してNokia 7600へ転送できる。
デザインや各所に見られる独特の思想の面では非常に魅力を感じる製品だが、価格がほぼ7万円ということもあり、実際に買うのはちょっと思い切りがいる。通話はほぼ問題ないし、コンテンツサービスの利用に制限がある点も、日本のキャリアの方針にも依存するだろうから、いたしかたないのかもしれない。
しかしコミュニケーション機能以外の、音楽再生をはじめとする付加機能には、もう少し高めの性能を実装してほしかったところだ。Nokia 7600がルックスどおりの多面性(しかも、実用的なレベルでの)を持った製品なら、7万円という価格も決して高くはないと思う。
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