東宝は7月10日から、シネマコンプレックス「TOHOシネマズ川崎ダイス」でFeliCa携帯を利用した発券サービスを開始する。7月下旬にはTOHOシネマズ高槻、橿原両店でもサービスを開始し、以降全国のTOHOシネマズで展開する。
ユーザーはオンラインチケット販売サイト「vit」にアクセスし、チケットを購入する。この情報は事前にダウンロードした「vitアプリ」により、携帯内部に格納される。鑑賞当日、自動発券機に携帯をかざせば入場チケットが発券される仕組みだ。
東宝では以前から、vitを利用したオンラインチケット購入〜発券システムを整備していた。「劇場にもよるが、多いところでは3割、平均して1割程度の来場者がネット経由でチケットを購入している」(同社)。もっとも、従来のサービスでは発券機の前で4ケタの「購入番号」を入力するといった操作が必要で、とまどうユーザーもいたという。
「これからは、映画館でも“ピッ”とかざす文化が当たり前になってくる。(FeliCaサービスの利用は)非常に伸びるのではないか」
vitアプリで、ダウンロードしたチケット情報を一覧表示させたところ。もちろん、アプリを起動せずとも端末をタッチするだけで発券は可能になっている |
FeliCaの利用法としてしばしばいわれるのが、電子チケットによる入場サービス。しかし、同社は「劇場のオペレーションとしてどうなるかという問題があり、現在も検討中」。導入を見送った。
vitでの決済にはクレジットカードを利用する。「Edy対応も検討してはいるが、いまのところクレジットのみ。オンライン上で決済を済ませ、当日は発券するだけというシステムだ」。来館時にEdyで決済を行うといったことは、それほど考えていないようだ。
東宝の事業開発室 是枝宗男氏は、FeliCaを導入することで、すぐに人件費削減などの効果が期待できるわけではないと話す。
「映画業界では、“シネマコンプレックス”が時代の流れ。しかしシネマコンプレックスでは基本的に指定席で対応するため、1人あたりの接客時間がかかってしまう」。チケットをオンライン購入し、FeliCaで発券するユーザーが増えることで人の流れがスムーズになる点に期待するとした。
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