携帯をクレジットカードにする「QUICPay」は安心かWIRELESS JAPAN 2004

» 2004年07月21日 22時52分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 「おサイフケータイ」が、また一歩進化した。JCBとイオンクレジットサービスは、携帯がクレジットカード代わりになるというサービス「QUICPay」を発表した(7月20日の記事参照)。JCB会員向けのサービスで、手持ちのクレジットカードと携帯を紐付けることで、携帯が第2のカードとして機能する。

 同サービスのデモは、ワイヤレス ジャパン 2004会場で見ることができる。JCBの開発本部 市場開発部、ソリューショングループ係長の正来剛氏に、サービスの詳細を聞いた。

レジでかざすだけ、チャージは不要

 QUICPayは、レジで携帯をかざすだけで決済できるサービス。利用形態としては、Edyとよく似ている。

Photo 支払い時に、携帯をリーダライタにピッ。これで決済が完了し、領収書が発行される

 ただし、いくつかの点でEdyとは根本的に異なるサービスだ。まず、QUICPayでは、利用に先立ってチャージを行う必要がない。サービスに申し込み、アプリをダウンロードして携帯にQUICPay機能を追加すれば、すぐに自分の口座を利用して決済を行える。ちょうど携帯電話がクレジットカードになるイメージだ。

 FeliCa携帯での利用分は、通常のJCBカード利用分と合算される。カードの利用明細に、買い物の内容に混じって「QUICPay利用分」が記載される。

 簡単とはいえ、実際には多少の手続きも必要になる。ユーザーは店頭で、JCBにまず照会を行う。照会が済めば、携帯に3万円分のバリューが書き込まれる。これは“チャージ”ではなく、“与信枠の確認”といった意味合いの処理だ。

 「これにかかる時間が、5秒ほど」(正来氏)。あとは3万円を使い切るまで、レジでかざす〜決済、の手続きを繰り返すことになる。3万円がなくなったら、改めてそのユーザーの与信枠を照会することになる。

セキュリティ面の課題はないか?

 携帯がクレジットカードになると聞いて、万一落とした場合の不安を感じるユーザーも多いだろう。実際、FeliCa携帯では難しい操作がいらず、パスワード入力なども必要ないため、かざすだけで使えてしまう。

 事前にバリューをチャージするサービスなら、悪用された際の被害額は“チャージした分”に留まるが、クレジットカードでは限度額まで使いこまれるおそれがある。前述のとおり、1回に使える額は3万円までとはいえ、拾得者が手間さえ惜しまなければいくらでも口座を利用できる。

 もっとも、同じことはクレジットカードを落とした場合にもいえることだ。正来氏は、JCBのノウハウを携帯にも適用していると話す。

 「JCBでは、カードのユーザーの利用傾向がそれまでと大幅に異なる場合は、悪用と判断して利用をストップするシステムを備えている」

 ほかに、悪用されたと訴えた場合に、60日前までさかのぼって審査してくれる体制も整えている。「携帯でのサービスを導入するにあたり、リスク面での不安は特にない」(同)。

 なお、QUICKPayは携帯電話のほかに、FeliCaカードを発行してもらって利用することも可能。ユーザーが望めば、FeliCa携帯とFeliCaカードの両方を持つこともできる。仮に携帯を落としたら、携帯だけ利用をストップしてカードを使い続ける――といったことも考えられるという。

 QUICKPayの課題は、使えるエリア。サービスを利用するには、店舗側にリーダーライターを設置する必要がある。

 Edyのリーダーライターと共用できればいいのだが、残念ながらそうはいかない。「今後、Edyのリーダーライターにアプリを乗せることで対応できるようにする考えもある」(同)。

 現時点で、対応店舗としてはスーパーマーケットやコンビニエンスストア、百貨店のレストラン街での利用などを想定している。

 JCBとイオンクレジットサービスはまた、QUICPayに多くの参加事業者を見込むため、広汎に国内のクレジット会社に参加を呼びかけている。

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