“無料の雑誌”を支えるモバイルメディアミックスモバイルdeマーケティング 第1回(3/3 ページ)

» 2004年07月27日 16時55分 公開
[三田隆治,ITmedia]
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 企業からみれば、モノやサービスをPRする上で、リーチするのが極めて難しい層という認識が定着しつつある。統計によれば、この世代の男性の7〜8割が、定期的に購読している雑誌は「皆無」と答えたという。

 「R25」のプレ創刊号を手にとってみると、全52ページ中、広告が16ページしかないことに驚かされる。広告比率で全誌面の3割程度という少なさだ。

 「これだけ少ない広告スペースで無料でやっていけるのか?」という疑問も浮かぶが、田畑氏は高い広告効果を期待できると自信を見せる。「創刊号は、エリアを首都圏だけに限定して50万部という規模で配布する予定です。さらに“首都圏の団塊ジュニア男性”という、本来は購買力のある層に、確実にリーチしていることを考えれば、『R25』の一部あたり広告料は、むしろ安いといえるのではないか」(田端氏)

 マーケティング的な見地からも、その結果が注目される「R25」だが、今後、携帯電話とのメディアミックスについては、どのように考えているのだろうか。

 「プレ創刊号では、主として誌面よりは広告やアンケートで、携帯電話を効果的に活用しました。プレ創刊号4回で毎週行った懸賞付きアンケートでは、ハガキ、PC、ケータイという3種類の方法でアンケートを募りましたが、ハガキが25%、パソコンが35%に対して、ケータイからの回答率が40%と最も高い数値を示した」(田端氏)

 また、プレ創刊号では、番号アクセスサービス「とくナンバー」を使って、前述のアンケート応募や広告ページでのキャンペーンサイトへの誘導も行った。いずれも高いアクセス率を示したという。「『R25』は、通勤電車の中で読める程度のボリュームを想定しており、東京メトロなど通勤導線上での配布が主体となる」(田端氏)。PCと異なり、出先でもアクセスできる携帯電話は、「R25」とのメディアミックスを実現しやすいメディアだといえそうだ。

 アンケート応募では、携帯電話からの応募率が4割と、最も高い値を示した

 コンテンツ面でも、お金を出して特定の雑誌を買わない、いわゆる「無関心層」に対して「まずは話題の間口を幅広く取る」という編集方針を取る。ケータイとのメディアミックスにおいて可能性の高いコンセプトといえるだろう。

 「フリーマガジンである以上、誌面スペースにも限界がある。今後、QRコードなどを使って、よりディープなトピックはケータイで……、などという使い方も想定できるでしょう」(田端氏)

 たしかに、「R25」が想定している読者層は、ケータイのヘビーユーザー層と重なるポイントが多い。新聞も雑誌も、テレビすらもあまり見ることのなくなった団塊ジュニア層に対して、ケータイを利用した「R25」のアプローチが有効であることは、前述のアンケートの数値でも明白だろう。

 今回の取材を通して感じたのは、フリーマガジンとモバイルの親和性の高さだ。気軽に手に取ってもらえるという強味を持つフリーマガジンと、電車の中などでも盛んに利用されているモバイル。この二つは、利用者層、利用シーン、ともに共通している部分が大きい。そして、フリーマガジンとモバイルを連携させることにより、読者とのインタラクティブなコミュニケーションを図ったり、さらに深い内容やデジタルコンテンツはモバイルで提供する、など情報提供方法の幅も拡がる。

 モバイルと紙媒体を連携させるソリューションも多く登場している。「R25」で利用された番号アクセスサービスの「とくナンバー」やQRコード、空メールなど、ユーザーの認知も高まってきている。それらによって、モバイルを利用したメディアミックスが簡単に提供できるようになり、情報を提供する企業にとっては、既存の媒体にモバイルを加えることで、情報配信・プロモーションの手法が変化し、より効率的な展開が可能になるだろう。

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