テレビ局は、携帯をどう使いたいのかmobidec 2004

» 2004年08月27日 02時23分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 テレビと携帯が、ますます密接な関係を築きつつある。既に地上波テレビ番組と携帯を連動させる試みがいくつか行われており、2005年末には地上デジタル放送の1セグメント放送(3月11日の記事参照)が開始される予定だ。両者は今後、どのように連携していくのか。

 8月26日に開催された「mobidec 2004」のカンファレンスでは、TBS、テレビ朝日、フジテレビの携帯ビジネス担当者が登場。それぞれの立場から、テレビ放送局がどう携帯を取り込み、番組の付加価値増に利用しているかを紹介した。

TBS「TVを見ながらケータイ」

 最初に登場したのは、TBSのコンテンツ事業局iコミュニケーション部、成合由香氏。1セグメント放送の登場は、「新たなビジネスチャンスととらえている」という。

 TBSでは、“テレビを見ながらケータイ”というスタイルをユーザーに習慣づけることを狙う、と成合氏は話す。その考えに沿って展開されたイベントの一例が、「K-1 WORLD MAX 2003〜日本代表トーナメント〜」だ。1万人を抽選で選び、K-1の放送を見ながら携帯を利用して、リアルタイムで“勝者当て”予想をしてもらった。

 「番組連動企画として、初めて“乗り換え機能”を加えた。片方がフック、アッパー!で優勢になると、(ユーザーの予想が変化し)そちらの票が伸びるという仕組みだ」。視聴者の心情が、リアルタイムで反映されたという。

 番組終了と同時に行ったアンケートの調査結果は、「参加して楽しめた」がが73%、「まあまあ楽しかった」が23%というものだった。

 「興奮が冷めない状態でのアンケートなので肯定的意見が多くなるのは事実だが、生の声が聞けたのではないかと思う」

 こうした試みが一定の成果を挙げたとして、「今後もリアルタイムに連動した企画をやりたい」とした。

「“上り”の手段を手に入れた」〜テレビ朝日

 次に登場したテレビ朝日の事業局デジタルコンテンツセンター、副部長待遇の岡田淳氏は、携帯やインターネットの登場で「新しいビジネス」が始まるわけではないと主張する。

 「インターネットは既存のビジネスモデルを“高速化”するのであって、何かを変えるわけではない」

 同氏は、そもそも放送とは局からユーザーへ向けた「下り」のメディアであり、携帯の登場によって「上りのツールを手に入れた」と分析する。同氏はこれまで、ユーザーから局に向かって発信された意見や感想を吸い上げる手段はハガキしかなかったと指摘。携帯のおかげで「応募や(投票などの)集計が、生放送にも耐えられる」レベルで運用可能になったとした。

 携帯を双方向ツールとしてとらえると、その優位性はほかの手段よりも抜きん出ていると岡田氏。例えばプロ野球のオールスターゲームで、放送中にプレゼントを告知し、PC、モバイル、ハガキで受け付けを行った場合にこの差が明らかになる。

 「プレゼント応募人数のうち、PCが4割、モバイルが6割。(応募ページの)トップにアクセスしたユーザーの中で、実際に応募に至る手続きを行ったユーザーの割合は、PCが10%程度なのに対して、モバイルは60%を超えた」

 こうした結果をふまえ、岡田氏は携帯を「テレビの情報リモコン」であり「子機」だと位置付けた。

携帯サイトに力を入れるフジ

 フジテレビのデジタルコンテンツ局 モバイルコンテンツ部の副部長、伊東達郎氏は「携帯への取り組みは五里霧中」と率直な感想を述べる。

 フジテレビは上記の2局と比べ、それほど携帯を活用した大規模な取り組みはやっていないと伊東氏。現状、注力しているのは「携帯向けサイト」だ。ドラマ・情報番組のコンテンツを提供する「フジテレビで〜す」をはじめとする、11サイトを運営している。

 「商売できる(ビジネスとして成立する)ようなところにはきた」

 サイト運営では、何に気をつけたのか。伊東氏は、1に番組連動、2に番組連動、3、4がなくて5に番組連動だと話す。たとえば、ある番組と連動したサイトでは、“出演者からメールが届く”というふれこみでメールを配信している。

 「たいていのユーザーは『(誰かが)まとめて書いてるんだろうな』と分かっているんでしょうが……そんなことを言っては(バラしては)いけないですね……そのメールに、すごい数の返事がくる」

 視聴者と番組の、一体感を醸成できるのだという。

 こうした取り組みもあって、番組の制作サイドでも「携帯を使えば面白いことはできそうかな」という見方は広まりつつあると伊東氏。

 「まあ、そうでない方もたくさんいらっしゃるのですが……」

 フジテレビとして、携帯ビジネスはまだまだ小さな可能性の“芽”にすぎない。しかし、それを継続して続けている。伊東氏は、いろいろなアイデアがほしいのだと会場の参加者に呼びかけた。

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