コンテンツの“リコメンド”が次のステージmobidec 2004

» 2004年08月27日 11時39分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 携帯インターネットのスタートから5年たち、次のステージに入ったことはドコモだけでなくKDDIも認めるところ。しかし、デジタルコンテンツはまだまだ伸びるというのがKDDIの考えだ。

 8月27日、mobidec 2004で講演したKDDIのコンテンツ・メディア本部長の高橋誠氏は、次のコンテンツ戦略として“リコメンドのプラットフォーム作り”を挙げた。

みんな誰かにトリガーを引いてほしい

 「トリガーとアクション」──。コンテンツをリコメンドして、それに対して通信というアクションを起こしてほしいというのがKDDIの狙いだ。

 「みんな、誰かに勧めてほしい。着メロも、ベスト10からのダウンロードがすごく多い。声が大きい人にいろいろリコメンドしてほしい。リコメンドのプラットフォームや仕掛けがトリガー。これに対して、通信を起こす」(高橋氏)

 この考えに則って、KDDIはさまざまな方法でユーザーにリコメンドする手段を用意してきている。

 分かりやすいのは、EZチャンネルだろう。高橋氏は無料コンテンツ「ポケット(C)ネル」内で配信している「着うたランキング」を例に挙げ、紹介した楽曲のダウンロードが多いと話す。リコメンドのタイミングを図る観点から、現在朝に集中しているEZチャンネルの番組配信の通知を、昼や夕方などコンテンツに合わせた時間帯に変更することも予定している。

 FMケータイもリコメンドの成功例だ(2003年9月24日の記事参照)。FMラジオで現在流れている楽曲名を調べて、着うたをダウンロードできる「Now On Air」機能の利用率は41%に上ることを挙げ、コンテンツ利用に結びついているとした。今後はFMラジオを内蔵していない端末でも、自宅や自動車内でのラジオ視聴中に利用できるよう、BREW2.1以上を搭載する端末では、「Now On Air」機能のアプリをダウンロードできるようにする計画だ。

 新WIN端末でFlash化したポータルサイトも、リコメンドを念頭に置いている。「われわれのポータル戦略はドコモとは違う。EZwebは大事にしているポータルの1つ。しかしユーザーの生活スタイルからすると、ポータルはいろいろあってもいいのではないか。ナビゲーションならEZナビから、音楽の世界ならFMから入ってもいい。こんな入り口をどんどん提案していきたい」と高橋氏は話す。

定額制だからできた「トリガーとアクション」

 こうした「トリガー&アクション」の連鎖は、定額制だからこそ実現できた。逆にいえば、従量制では考えにくい構想だったともいえる。

 「定額制ではクロスメディアをやっていかなくてはならない。従量制のときは、ずっと携帯を使ってもらいたかった。定額では、設備の負担にも影響するので、ずっと使ってもらわなくていい。自宅では雑誌を読んでもらって、それをトリガーとして携帯を使ってもらえばいい」

 “携帯のメディア化”を目指すという戦略も、このトリガー&アクションの一端を担う。地上デジタル放送機能の携帯搭載にもKDDIは積極的だが(6月28日の記事参照)、ここでもFMラジオと同じく、テレビをトリガーとしたアクション──コンテンツへつなげていくのが基本的な考え方だ。

 従量制では、通信時間を巡って携帯と他メディアは競合する位置づけにあった。テレビを見ている最中はWebアクセスができないからだ。KDDIは定額制に大きく舵を切ることで、“通信をしてもらうこと”にこだわらない戦略へのシフトに成功しつつある。

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