ニュース
» 2004年09月29日 23時59分 公開

三菱電機、“ZigBee”端末の試作機を初公開

三菱電機は、ZigBeeに対応した無線センサー端末を公開した。10月5日に開幕する「CEATEC JAPAN 2004」では、ホームセキュリティに応用したモデルを出展する予定だ。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 三菱電機は、ZigBeeに対応した無線センサー端末を公開した。ZigBeeは、ZigBee Allienceが仕様の策定を進めているオープンなネットワーク規格で、主にホームセキュリティやビル管理といった用途を想定している。三菱電機は、アライアンスの設立当初からプロモーターとして参画している。

photo 端末には検証のために7種類ものセンサーが取り付けられていた。センサー部や無線部はモジュラー構造になっており、無線部(IEEE 802.15.4準拠のRFチップと16ビットマイコン)だけなら54×44×8ミリとかなり小型。組み込みOSとしてμITRONを使用しているため、アプリケーションの開発も容易だという

 ZigBeeは、IEEEが策定中の短距離無線ネットワーク規格「IEEE 802.15.4」と、かつての「HomeRF」をベースにした新しいネットワーク技術だ。伝送速度こそ250Kbpsと無線LANやBluetoothよりも遅いが、1つのネットワークに多くのデバイスが参加できるほか、煩雑な設定なしで機器の追加や削除が行えるアドホックネットワークに対応。さらに、低消費電力という大きなメリットがある。

 これらの特性を活かすのが、今回開発された無線センサー端末だ。たとえば窓枠にマグネットセンサー付きのZigBee端末を設置しておき、不審者の侵入を検知する。あるいはドアノブに加速度センサーを取り付け、住人の不在時にドアが動いたら通知する。伝送する情報量が少なく、またメンテナンスの手間をかけたくないホームセキュリティやビル監視といった用途が想定されている。

 「エコーネットなど他のホームネットワーク規格との違いは、ZigBeeが“センサーネットワーク”を指向した唯一の規格ということ。(エコーネットにも使われる)Bluetoothは、伝送速度こそZigBeeよりも早いが、同時に接続できる端末数は7台まで。対して、Zigbeeは分散&多数のデバイスを繋げることができる」(三菱電機ユビキタスネットワークシステム部センサネットワークチームリーダーの稲坂朋義氏)。

 同社は、東芝などと協同で白物家電をエコーネットに対応させる「iReady」を開発(関連記事)するなど、ほかのネットワーク規格にも注力しているが、端末の種類や用途によってこれらを使いわける方針のようだ。その考え方は、無線センサー端末の仕様にも見ることができる。

 たとえば、無線センサー端末にはRS-232Cのシリアルインタフェースが搭載されているため、PCやセンサーサーバ(ゲートウェイ)を介してIPネットワークやエコーネットなど他のネットワークと接続することも容易だ。ゲートウェイに中継させ、インターネット経由の遠隔監視や機器制御も可能になる。つまり、宅内のセンサーが異常を検知したら、居住者の携帯電話に電子メールを送信するといったネットワークサービスも可能だ。

 「まだ研究開発段階だが、ほかのネットワークとの接続性もZigBeeの特徴の1つ。ゲートウェイとして、昨年10月に発表したマイクロサーバをベースにした“名刺サイズ”の小型Linuxサーバを開発している」(同氏)。

 低消費電力もメンテナンス作業を省くための重要な要件だが、ほかの無線規格と比較すると、ZigBeeがこの点でいかに優れているか理解できるだろう(下図)。IEEE 802.15.4無線部の消費電力は60mW以下。無線センサー端末全体でも消費電力は700μWHだ(1時間に1回センサー情報を採取する場合)。稲坂氏は、「たとえば温度センサーで1日に1回室温を計測する端末なら、単三乾電池2本で1年間は使用できる」と話している。

  ZigBee Bluetooth UWB
無線規格 IEEE 802.15.4 IEEE 802.15.1 IEEE 802.15.3a
通信速度 250kbps 1Mbps 480Mbps
周波数帯域 2.4GHz 2.4GHz 3.1〜10.6GHz
通信距離 10〜70m 10〜100m(ver.2) 4〜10m
消費電力 60mW以下 120mW 100mW以下

 伝送距離は約70メートルと一般的な戸建て住宅や小規模ビルなら丸ごとカバーできるレベルだが、さらにZigBeeではメッシュネットワーク構成に対応した。ZigBee端末にはフル機能を持ったFFD(Full Function device)と、簡易版のRFD(Reduced function device)と呼ばれる2種類があり、FFD同士がメッシュネットワークを構成し、1つのFFDに最寄りのRFDがいくつかぶら下がる形でスター型のトポロジーを形成する。たとえばビル構内なら、フロアをまたぐ格好でメッシュネットワークを構成し、各フロアはスターネットワークという形で導入コストを抑えることができる。三菱電機では、大規模ビルの設備管理システムや自然環境の状態を監視する“環境モニタリング”などへの応用も検討していく。

 今後は開発した無線センサー端末のシステム評価を行い、2006年度の製品化を目指すという三菱電機。なお、10月5日に開幕する「CEATEC JAPAN 2004」では、ZigBeeをホームセキュリティに応用したモデルの展示を行う予定だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう