Macromediaが、“家電のUI制覇”を狙っている。携帯電話などの組み込み機器向けに開発した「Flash Lite」を、市場に広めたい考えだ。
10月22日に開催された「Macromedia Flash Conference 2004」では、マクロメディアのモバイルアンドデバイスソリューションエンジニア、松井邦夫氏がセミナーに登場。同社の考えを話した。
Flash Liteは既に、ドコモ、au、ボーダフォンの主要3キャリアに採用されている。サイトのインタフェースをFlash化したり、Flashベースの待受アプリを用意したりといった活用がなされているようだ。そもそも、メニュー画面そのものをFlash化した端末もある。
松井氏はこの流れを、「ブラウザからの脱却」と形容する。「携帯電話をはじめ、あらゆる組み込み機器のUIをFlashにより実現する」。実際、液晶表示にFlashを採用したような家電製品も登場しつつある。
松井氏は、FlashをUI向けツールとして考えたとき、ライバルになるのは「HTMLとJavaだ」と分析する。2者と比べた際のFlashの優位性は、規格・オーサリングツール・実行環境の3つがMacromedia内で「閉じていること」にあるという。
「データ形式や規格は、Javaの場合Sun Microsystem、HTMLの場合はW3Cが決めているわけだが、オーサリングツールとなると結局ツールメーカーに依存する。実行環境も、Javaといえども各種JVMがあるほか、HTMLはブラウザによって動作が違ったりする」
一方Flashはというと、規格、オーサリングツール、実行環境のすべてをMacromediaがトータルに提供してる。このため「オーサリングや実行環境のギャップがない」(松井氏)。なお、Flashの互換性は1200項目にもおよぶATS(Acceptance Test Suite)やMacromedia社内でのVTS(Verification Test Suite)といったテストプログラムによって、互換性を証明されている。
「開発者にとっては(テストを通過させるのが)面倒だと思うかもしれないが、コンテンツ(プロバイダ)側は安心するだろう」(同)
松井氏はまた、Flashを用いたUIのデザイン開発ではデザイナーの意図が最終製品に反映されると強調。画面上で何をどのように動かしたいか、文字や言葉でプログラマーに伝えても分かりにくいものだが、Flashならデザイナーがそのまま動きをつけて開発者に示せるのだという。
松井氏は、FlashのUIは「swfファイルという軽い形式で、ポーンとダウンロードできる」とコメントする。スキンを替えるように、UIを「コロコロ替えられる」(同)。
とはいえ、今後に残された課題もある。1つは、Flash Lite 1.1の「Load Movie」機能がswfしかサポートしていないこと。「デジカメのUIを作ろうと思ったら、サムネイル表示の部分でJPGをサポートしないわけにはいかない」。
もう1つ、Flash Lite 1.1では携帯の電池残量などのデータにアクセスすることが可能だが「このデータをイベントドリブンでできるようにしたい」と同氏。
現状では、ポーリングして常に電池残量の状態を把握しなければならない。そうではなく、電池残量が変化した段階でイベントが上がってきて、動作を起こすようにしたいという。
松井氏は、今後もっと多くの組み込み機器に採用するよう、技術を改良するとコメント。「液晶画面を見ると、画面あるものはすべてFlashでできる(=インタフェースを構築できる)のではないかと思う」と意気込みを話した。
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