携帯電話を使った遠隔監視システムが増えている。WPC EXPOでもペット用の各種監視カメラが出展されるなど、注目される分野だ(10月21日の記事参照)。
しかしいずれの製品も、敷居の高さが気にかかる。「インターネット常時接続が……」「サーバが……」などといわれると、なんとなく気が引けてしまうものだ。
こうした障壁を取り払い、もっと手軽にペットコミュニケーションを図れるようにしたい──。そんな考えから生まれたのがスリー・エスのペット給餌器「ペットフォン・ビュー」だ。
ペットフォン・ビューは、FOMAのテレビ電話を使った遠隔給餌器(12月2日の記事参照)。出先のFOMAからテレビ電話でペットの様子を確認したり、ダイヤルキー操作で給餌したりできるものだ。
同様のほかのシステムと違うのは、給餌器に音声端末の「P900i」を取り付けて使う点だ。本体にカメラなどは備えず、P900iのテレビ電話機能そのものを使ってしまおうという発想が面白い。
出先のFOMAからP900iにかかってきたテレビ電話を受けるのは、なんと“機械の指”。電話がかかってきたことを検知すると電磁石が動き、機械の指に発話ボタンを押させる。「ペットは発話ボタンを押せないので、こうした機構を入れてテレビ電話をつないでいる」(スリー・エス第一営業部の小野寺正昭部長)。
「強く押しすぎると携帯が壊れるし、弱すぎると発話ボタンが押されない。この微妙な加減を調整するのが難しかった」(小野寺氏)
ペットフォン・ビューにはマイクやスピーカーが装備され、テレビ電話を通じてペットの声を聞いたりペットに呼びかけたりできる。ただ慣れるまでは、「声がするとご主人様が帰ってきたのかと思ってドアのほうに行ってしまうこともある」(同)そうだ。
ペットへのえさやりは、電話がつながった状態で「*」-「1」-「#」を押すと、えさ箱の羽が回転して1回分のえさがトレイに出てくる。ダイヤルキーを押すと鳴るDTMF音(電話のピポパ音)をペットフォン・ビューが検知して、羽を回転させる仕組みだ。
音声端末のインカメラを使ったり、機械の指で発話ボタンを押させたりと、ローテクな感があるペットフォン・ビューだが、「販売価格を抑えるために、あえてそうしている」と小野寺氏。ペットフォン・ビューの価格は1万9550円と、この手の製品にしてはリーズナブルな価格に抑えた。「カード型端末を使ったり、カメラを内蔵させたりすると、開発コストも製造コストもかかる」。使い勝手も価格も敷居を低くすることで、ペット愛好者の心をつかみたい考えだ。
なお共同開発を行ったドコモ東北では、モニターキャンペーンを実施中(東北在住ユーザー限定)。取り扱い店舗は順次スリー・エスのサイトに掲載する予定だという。
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