韓国独特、携帯「メンバーシップカード」とは?韓国携帯事情

» 2004年12月06日 14時07分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 韓国では、各キャリアがユーザーに「メンバーシップカード」を発行している。メンバーシップカードとは、映画館や飲食店、遊園地、コンビニ、リゾートなどの利用料を割り引きしてもらえるカードだ。

 プリペイド携帯ユーザーは使えないが、それ以外のユーザーは誰でも気軽に作ることができる。携帯電話を持つ人の大半はこのカードを持っており、ありとあらゆる恩恵を得ている。

細分化しているSKTと、統一されているKTF・LGT

 一口にメンバーシップカードといっても、キャリアごとに特徴がある。たとえばSK Telecom(SKT)は、「UTO」「TTL」「ting」「CARA」といった料金プラン別(11月29日の記事参照)のカードが用意されており、カードごとに受けられる恩恵が若干異なっている。

 具体的には、社会人が主な対象のUTOカードはバーの料金割引などがあり、学生を主な対象としたtingカードやTTLカードは、PC房(韓国版ネットカフェ:利用料は1時間1000ウォン*)などの利用料が割引になる、といった具合だ。

PHoto SK Telecomのメンバーシップカード。たとえばCARAカードは、女性のみ入会可 
 *10ウォン=約1円

 一方、KTFとLG Telecom(LGT)のメンバーシップカードは1種類のみ。以前は両者ともSKTのようにカードが細分化されていたのだが、カード別にサービス内容が大きく変わらないということと、会員が少しでも多くのサービスを受けられるように、という理由から統合してしまったようだ。

Photo  
Photo KTFのメンバーシップカードの右上には、持ち主の料金プラン名が表記してある。サービス内容は同じ。LG Telecomのカードには、後ほど紹介するファミリーカードや、クレジット機能がついた“Mplus”などがある

 メンバーシップカードの申請は、各キャリアのショップ、またはインターネットでも簡単に行える。使い方も簡単で、店頭で支払いする際にカードを提示するだけ。店員がそれを機械に通すことで、割引処理が行われる。使用後には、割引処理が行われた旨を知らせるショートメッセージが携帯電話へ自動的に送信され、割引されたことが確認できるというのも嬉しい。

カード利用の場は多種多様

 メンバーシップカードが利用できる場は、実に多様だ。中でももっともよく使われているサービスが映画館での割引で、カードを提示すれば、SKTとLGTは2000ウォン、KTFは1500ウォン(月一回のみ)が割り引きされる。ちなみに韓国の映画は1本7000ウォン程度。映画館によっては、朝一番の上映が4000ウォンになる。KTFにいたってはカード提示で金曜日の映画が無料(月一回のみ)となるため、その恩恵はかなり大きいといえる。

 このほかコンビニでは、SKTがファミリーマートで20%、LGTはLG25で15%割引。レストランは、SKTがロッテリアで1000ウォン当たり200ウォン、KTFがケンタッキー・フライド・チキンで20%、LGTがマクドナルドのセットメニューで20%割り引き。洋服屋や遊園地、スポーツジムなどの利用料、理髪料、健康診断受診料、セキュリティ設備設置料など、ありとあらゆる場で豊富なサービスが提供されているのだ。

SK Telecom KTF LG Telecom
ファーストフード ロッテリア(1000ウォンごとに20%OFF) KFC(20%OFF) マクドナルド(セットメニュー20%OFF)
ドミノピザ(20%OFF) ピザハット(20%OFF) ミスターピザ(20%OFF)
コーヒーショップ スターバックスコーヒー(ショートからトールなどのサイズアップを無料で) JAVA COFFEE(10%OFF) スターバックスコーヒー(ショートからトールなどのサイズアップを無料で)
映画館 2000ウォンOFF 2000ウォンOFF 2000ウォンOFF
遊園地 一日パスポート最大50%OFF 一日パスポート最大50%OFF 一日パスポート最大50%OFF
コンビニ ファミリーマート(20%OFF) Buy The Way(20%OFF) LG25(15%OFF)
ヘアサロン 最大20%OFF 最大30%OFF 最大30%OFF
その他 大学内売店10%OFF カラオケ40%OFF 仁川空港ラウンジ無料利用
CAPSセキュリティシステム設置・加入費無料 博物館、美術館の入場料最高50%OFF LGツインズ(野球)一般席1000ウォン、指定席2000ウォンOFF、LGチータース(サッカー)20%OFF
温泉リゾート50%OFF 東和免税店15%OFF イングリッシュチャンネルの教材20%OFF
エンジンオイル1万ウォンで交換 ハードロックカフェ25%OFF 韓国医学研究所での健康診断40%OFF

「VIP」ならポイントサービスもおトク

 当然ながら、ポイントサービスには利用できる限度がある。この限度は月々の通話料金で決まり、4等級に分けられている。

 たとえばLGTの場合は、年間の利用料金が30万ウォン未満で3万点のポイントが与えられる「一般」、30〜60万ウォンで5万点の「Silver」、60〜90万ウォンで7万点の「Gold」、90万ウォン以上で10万点の「VIP」とあり、店頭でサービスを受けるごとにこのポイントから引かれる形となる。具体的には、割り引かれた1ウォンにつき1ポイント消費する。

 LGTでは、このポイントを共有できるサービスを提供している。複数人数で加入すれば通話料金がお得になる料金プラン「家族割引」のメンバーなら、各メンバーのポイントを統合可能。つまり、最大7人70万点までのポイントをメンバー間で共有できるわけだ。

 ほかのキャリアも負けてはいない。SKTはLGTよりもVIP会員へのサービスが熱心で、年6回の映画無料鑑賞や、エンジンオイルの無料交換などをインセンティブに使っている。KTFでは、携帯電話をカードとして使える「モバイルカード」も発行している。


 このサービスは元々、キャリアの囲い込み策の一環として始められた。特に端末やサービスに大きな差がなかった1年前頃までは、メンバーシップカードのテレビCMを放送したり、サービス加盟店を増強するなと、各キャリア間で熾烈なサービス合戦が繰り広げられていた。しかし最近では端末の高機能さ・多機能さの争いに焦点が移っており、やや沈静化しつつあるようだ。

Photo (上段左)若者向けカジュアルショップ「eigen post」でも、SK Telecomのカードが利用可能。じつはこのショップもSKグループ(上段右)KTFのカードで30%割引になることを知らせる、ヘアサロンの看板(下段左)「Mr.Pizza」では、LGTのカードが利用可能(下段右)すべてのメンバーシップカードが利用できることをアピールするレストランの垂れ幕。メンバーシップカード対応というのは、店側にとっても集客の武器となる

佐々木朋美

プログラマを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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