韓国では、各キャリアがユーザーに「メンバーシップカード」を発行している。メンバーシップカードとは、映画館や飲食店、遊園地、コンビニ、リゾートなどの利用料を割り引きしてもらえるカードだ。
プリペイド携帯ユーザーは使えないが、それ以外のユーザーは誰でも気軽に作ることができる。携帯電話を持つ人の大半はこのカードを持っており、ありとあらゆる恩恵を得ている。
一口にメンバーシップカードといっても、キャリアごとに特徴がある。たとえばSK Telecom(SKT)は、「UTO」「TTL」「ting」「CARA」といった料金プラン別(11月29日の記事参照)のカードが用意されており、カードごとに受けられる恩恵が若干異なっている。
具体的には、社会人が主な対象のUTOカードはバーの料金割引などがあり、学生を主な対象としたtingカードやTTLカードは、PC房(韓国版ネットカフェ:利用料は1時間1000ウォン*)などの利用料が割引になる、といった具合だ。
一方、KTFとLG Telecom(LGT)のメンバーシップカードは1種類のみ。以前は両者ともSKTのようにカードが細分化されていたのだが、カード別にサービス内容が大きく変わらないということと、会員が少しでも多くのサービスを受けられるように、という理由から統合してしまったようだ。
メンバーシップカードの申請は、各キャリアのショップ、またはインターネットでも簡単に行える。使い方も簡単で、店頭で支払いする際にカードを提示するだけ。店員がそれを機械に通すことで、割引処理が行われる。使用後には、割引処理が行われた旨を知らせるショートメッセージが携帯電話へ自動的に送信され、割引されたことが確認できるというのも嬉しい。
メンバーシップカードが利用できる場は、実に多様だ。中でももっともよく使われているサービスが映画館での割引で、カードを提示すれば、SKTとLGTは2000ウォン、KTFは1500ウォン(月一回のみ)が割り引きされる。ちなみに韓国の映画は1本7000ウォン程度。映画館によっては、朝一番の上映が4000ウォンになる。KTFにいたってはカード提示で金曜日の映画が無料(月一回のみ)となるため、その恩恵はかなり大きいといえる。
このほかコンビニでは、SKTがファミリーマートで20%、LGTはLG25で15%割引。レストランは、SKTがロッテリアで1000ウォン当たり200ウォン、KTFがケンタッキー・フライド・チキンで20%、LGTがマクドナルドのセットメニューで20%割り引き。洋服屋や遊園地、スポーツジムなどの利用料、理髪料、健康診断受診料、セキュリティ設備設置料など、ありとあらゆる場で豊富なサービスが提供されているのだ。
― | SK Telecom | KTF | LG Telecom |
---|---|---|---|
ファーストフード | ロッテリア(1000ウォンごとに20%OFF) | KFC(20%OFF) | マクドナルド(セットメニュー20%OFF) |
ドミノピザ(20%OFF) | ピザハット(20%OFF) | ミスターピザ(20%OFF) | |
コーヒーショップ | スターバックスコーヒー(ショートからトールなどのサイズアップを無料で) | JAVA COFFEE(10%OFF) | スターバックスコーヒー(ショートからトールなどのサイズアップを無料で) |
映画館 | 2000ウォンOFF | 2000ウォンOFF | 2000ウォンOFF |
遊園地 | 一日パスポート最大50%OFF | 一日パスポート最大50%OFF | 一日パスポート最大50%OFF |
コンビニ | ファミリーマート(20%OFF) | Buy The Way(20%OFF) | LG25(15%OFF) |
ヘアサロン | 最大20%OFF | 最大30%OFF | 最大30%OFF |
その他 | 大学内売店10%OFF | カラオケ40%OFF | 仁川空港ラウンジ無料利用 |
CAPSセキュリティシステム設置・加入費無料 | 博物館、美術館の入場料最高50%OFF | LGツインズ(野球)一般席1000ウォン、指定席2000ウォンOFF、LGチータース(サッカー)20%OFF | |
温泉リゾート50%OFF | 東和免税店15%OFF | イングリッシュチャンネルの教材20%OFF | |
エンジンオイル1万ウォンで交換 | ハードロックカフェ25%OFF | 韓国医学研究所での健康診断40%OFF | |
当然ながら、ポイントサービスには利用できる限度がある。この限度は月々の通話料金で決まり、4等級に分けられている。
たとえばLGTの場合は、年間の利用料金が30万ウォン未満で3万点のポイントが与えられる「一般」、30〜60万ウォンで5万点の「Silver」、60〜90万ウォンで7万点の「Gold」、90万ウォン以上で10万点の「VIP」とあり、店頭でサービスを受けるごとにこのポイントから引かれる形となる。具体的には、割り引かれた1ウォンにつき1ポイント消費する。
LGTでは、このポイントを共有できるサービスを提供している。複数人数で加入すれば通話料金がお得になる料金プラン「家族割引」のメンバーなら、各メンバーのポイントを統合可能。つまり、最大7人70万点までのポイントをメンバー間で共有できるわけだ。
ほかのキャリアも負けてはいない。SKTはLGTよりもVIP会員へのサービスが熱心で、年6回の映画無料鑑賞や、エンジンオイルの無料交換などをインセンティブに使っている。KTFでは、携帯電話をカードとして使える「モバイルカード」も発行している。
このサービスは元々、キャリアの囲い込み策の一環として始められた。特に端末やサービスに大きな差がなかった1年前頃までは、メンバーシップカードのテレビCMを放送したり、サービス加盟店を増強するなと、各キャリア間で熾烈なサービス合戦が繰り広げられていた。しかし最近では端末の高機能さ・多機能さの争いに焦点が移っており、やや沈静化しつつあるようだ。
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