日本の携帯電話の料金プランといえば、まず音声通話量の多さや通話時間帯によって分かれている基本プランを選択し、メールやWebの利用頻度が多い人はさらにパケット代の割引や定額制のオプションを追加するというのが一般的だ。しかし韓国では料金プランの発想が大きく異なっている。
まず各社の基本料金プランを見てみると、通話時間やパケット量などではなく、顧客の職業や年齢、性別によってプランが分けられている。ここでは例として、SK Telecom(以下、SKT)の料金プランを参考に、どのような料金プランが用意されているのか紹介していこう。
SKTの料金プランには大きく4つあり、20代半ばから30代半ばの社会人向けの「UTO」(ユト)、19歳から20代半ばまでの新世代の若者をターゲットとした「TTL」、女性限定の「CARA」、18歳以下限定の「ting」が用意されている。
現在、SKTが特に注力しているプランが「TTL」だ。「TTL」という言葉の意味は、SKT側でも公式的な発表はしていないが、「The Twenties Life」「Time To Love」の頭文字を取って付けられた名前だという説もある。
若者を強く意識した料金制度なので、価格設定は比較的安めに設定されている。例えばTTL契約者が通う大学や、若者が集まる街で利用すれば通話料金が安くなる「地域割引」では、基本料が15500ウォン(約1550円)で、割引地域では10秒の通話で9ウォン(約0.9円)と、深夜割引時間帯(24〜6時)と同じ料金となる。非割引地域では、たとえ割引時間帯(21〜24時、6〜8時)といえども16ウォン(約1.6円)、なので、割引地域での通話がいかに安いかがわかるだろう。
TTL | ||||
基本料 | 割引地域 | 割引地域外 | ||
非割引 | 割引 | 深夜 | ||
15500ウォン | 9ウォン | 21ウォン | 16ウォン | 9ウォン |
無料通話 | 約7分相当、SMS100回/月 |
この「TTL」世代へ“現在向かっている世代”という、現在進行形の意味を持っているのが、18歳以下限定の「ting」だ。主力ユーザは中・高校生ということで、夏・冬休み期間や、学校に通う期間、授業時間と放課後の時間で料金が違ったりする。
「ting 100」は基本料が13500ウォン(約1350円)で、通話料は8〜16時の授業時間帯には10秒間35ウォン(約3.5円)なのが、放課後時間帯(16〜20時、土曜日は1〜20時)には18ウォン(約1.8円)と半額となる。授業がない日や祝祭日は一律ウォン(約1.2円)、春・夏・冬の長期期間中は、深夜(月曜〜土曜の20〜8時)以外は24ウォン(約2.4円と、細かに分けられている。
ting | |||
基本料 | 13500ウォン | ||
通話料 | 区分 | 開校時 | 夏・冬休み |
非割引:月〜土曜8〜16時 開校時土曜8〜13時 | 35ウォン | 24ウォン | |
割引:月〜土曜16〜20時 開校時土曜13〜20時 | 18ウォン | 24ウォン | |
深夜月〜土曜20〜8時 | 9ウォン | 9ウォン | |
日曜・祝日 | 12ウォン | 12ウォン | |
無料通話 | 国内通話60分相当、SMS40回/月 |
20代半ばから30代半ばまでを対象とした「UTO」は、自分だけの空間=ユートピア(Utopia)の最初の文字を取ったもの。また「You 土(土を韓国式で発音すると“TO”)」という意味も持っている。SKTがこの世代を調査した結果、TTL世代以上、中高年層以下のUTO世代には、仕事、遊び、恋愛などに強い関心を持ち、自分だけのスタイルを築こうとする傾向があるといった結果が出たことから、この料金制度が設定された。
UTOのタイムプラス料金は、基本料が17500ウォン(約1750円)で、2分以上5分以下の通話が30%割引、5分超過分の通話が50%割引となる、長く通話するほど割引になる料金プランだ。仕事の打ち合わせや、友達や恋人、家族との連絡のために、長く話す社会人を意識している。
UTO | ||
タイム | タイムプラス | |
基本料 | 16000ウォン | 17500ウォン |
通話料 | 21/17/12ウォン(非割引/割引/深夜) | |
通話時の割引 | 2分超過5分以下の通話が30%割引 31回以上の5分以上の通話が50%割引 | |
その他サービス | SMS105回無料 | データ200KB(2600ウォン相当)、SMS125回無料 |
女性限定の「CARA」は、まつ毛を濃く長く見せるための化粧品「マスカラ」の「カラ」、そして「壮大な美」などの花言葉を持つ花「カラー」に由来している。
おもに主婦を対象としており、「昼時間割引」では、基本料13000ウォン(約1300円)で、平日21時〜翌日16時までの割引時間帯は10秒間15ウォン(約1.5円)となる。非割引時間帯の料金が34ウォン(約3.4円)と半額以下になることを考えるとかなりお得なことが分かる。
CARA | ||
昼時間割引 | 昼時間割引プラス | |
基本料 | 13000ウォン | 14500ウォン |
通話料 | 15/34ウォン(割引/日割引) | 15/34ウォン(割引/日割引) |
指定番号通話割引 | 指定番号1回線30%(有・無線区別なし) | 指定番号1回線30%(有・無線区別なし) |
その他サービス | 無料通話 月7分相当 SMS 月30回無料 | 無料通話 月7分相当 データ200KB(2600ウォン相当)無料 SMS 月50回無料 |
基本料金だけでなく、料金プランやオプションにもユニークなものが多く用意されている。例えば2002年W杯のオフィシャルスポンサーだったKTFは、基本料15000ウォン(約1500円)で2002秒の無料通話が可能な「コ・ティム・ファ」という料金プランを提供している(ちなみに「コ・ティム・ファ」とは「Korea Team Fighting」のこと。頭文字をとると、まさにKTF)。
またLGTでは、2〜7名のグループで契約すれば、メンバー間での通話料が半額となり、月の通話料もグループの通話料の平均額が請求されるうえ、6カ月に1度料金が無料となる太っ腹なサービス「家族割引」を行っている。
このほか、プロモーションのための期間限定の料金プランもある。最近増えているのは、リッチコンテンツや写真メールなど、データ通信を利用したマルチメディアサービスの利用を促進するプランだ。例えばKTFは、MMSを無制限で送れる年末までのオプションサービス「無制限写真メール プロモーション料金」(3000ウォン=約300円)を提供しているし、SKTも「June」用の「データ無制限プロモーション料金制(月額26000ウォン=約2600円で全データ通信無料)」という料金プランを始めている。
キャリアはコンテンツやサービスをより多くのユーザに使ってもらおうと、特別キャンペーンを打ち出している。プロモーション料金から、キャリアが今最も売り出したいものが何であるかを知ることができて面白い。
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