韓国キャリア事情〜3キャリアの位置付けは?韓国携帯事情

» 2004年11月18日 02時27分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 韓国は携帯電話の世界市場で大きなシェアを持つSamsungやLGのお膝元であり、日本に負けず劣らぬ「携帯先進国」だ。

 最先端技術をいち早く取り入れた端末のユニークさや、キャリア間の顧客獲得競争の熾烈さは日本以上ともいえる。それに技術開発力や社会的な事情が加わり、日本ともGSM圏とも違った独特なケータイ文化が育まれている。そんな韓国のキャリアについて見ていこう。

韓国にある3つのキャリア

 韓国の携帯電話人口は3614万人。現在、北朝鮮を除く人口が約4500万人なので、国民の約3分の2が携帯電話を持っている計算になる。

 携帯電話のキャリアはSK Telecom、KTF、LG Telecomの3社で、全キャリアがauと同じCDMA2000方式を採用しているのが特徴。CDMA 1x EV-DOによる高速通信サービスも日本より1年先駆けて行うなど、各キャリアが高度なサービスを競って展開されている点は、日本市場と似た状況ともいえる。

トップシェアを誇るSK Telecom

 市場占有率が51.4%と、韓国で半分以上のシェアを誇るのが老舗のSK Telecom(以下、SKT)だ。豊富なユーザー数と資金力を武器に、EV-DOの高速通信を利用したマルチメディアサービス「June」や、モバイル放送を提供、海外進出にも積極的だ。

 SKTが人気を集める理由の1つが、ブランド力だ。SKTは当初から一貫して高級路線でブランドイメージをPRしてきており、CMに起用する俳優や歌手もトップクラスのみ。決して安売りはしないことから、「料金は高め」というイメージが定着してしまった反面、同社のロゴ「SPEED011」は確固たるステータスを確立している。

 そのため少々高くても、SKTのブランドを持ちたがる人は多い。現在同社では、イメージキャラクターに韓国で人気・実力ともに韓国NO.1の歌手を起用。若者向けブランド「TTL」をPRするため、ショッピングモールや繁華街に専門のショップやスペースを設けるなど、ブランド力向上に力を入れている。

 同社はまた、NTTドコモなどと同じ800MHzの周波数帯を使用している唯一のキャリアだ。PHSと同じ1.9GHz帯を使用しているほかのキャリアと比べ、カバーエリアが広いことも人気の理由といえるだろう。

街にあるSKTショップ(左)と、大型ショッピングモール内にある「TTL ZONE」(中)。TTL ZONEでは、DVD鑑賞やインターネット、デジタルカメラで撮った写真の出力などを楽しめる。TTL ZONEの中にある「TTL Cineplex」では、22種類もの映画を常時見ることができ、友達や恋人連れの若者でにぎわう(右)

KT母体の2番手〜KTF

 2番目のシェアを誇るのがKTFだ。こちらは固定通信事業者最大手のKT(Korea Telecom、正式名称はKT。旧国営企業で民営化された、日本でいうNTTのような存在)が母体。KTが展開する無線LANサービス「Nespot」などと組み合わせた通信サービスなども行っている。

 市場占有率は32.3%と、SKTのほぼ3分の2。常にSKTをライバル視しており、互いを意識した広告合戦がよく繰り広げられている。SK TelecomやKTFのショップでにあるパンフレットを見ると、「KTFの料金はSK Telecomと比べてお得!」「SK TelecomのサービスはKTFより優れています!」といった露骨な広告文句が多数目につく。

 KTFはバックボーンが強力なだけに、SKTに劣らない先進的なサービスも多く展開している。日本ではauが採用している携帯電話向けアプリケーション・プラットフォーム「BREW」の商用サービス「magic n multipack」を世界で初めてスタートさせたほか、EV-DOを用いたマルチメディアサービス「Fimm」をSKTの「June」に先駆けて提供し、こちらも「世界初」の冠を勝ち取っている。

 KTFは、NTTドコモとよく似た、非常に優等生的な印象だ。マナーについてのCMをよく打ち、メインキャラクターも、紳士的なイメージを持つベテラン俳優が務めている(ちなみにこの俳優は以前、SKTのキャラクターを務めた経験もある実力派)。

 SKTほどの高級感はないものの、サービス水準はSKTに決して劣っていない。料金も値ごろということで、高いブランド価値を求めない人や学生にも人気だ。また最近では、若い女性の間で人気急上昇中の若手俳優をCFキャラクターに起用し、カメラフォンやMP3フォンなど、若い層へのマルチメディア端末普及に力を入れている。

ネイビーブルーが目印のKTFショップ。垂れ幕には「011も、010も、新規加入はKTFへ」の文字が

3番手ながら差別化戦略で成長中〜LG Telecom

 3番目のキャリアはLG Telecom(以下、LGT)だ。シェアは最も少なく、唯一EV-DOサービスを行っていないためリッチなコンテンツも少ない。

 代わりにMP3対応携帯やモバイルバンキングといったサービスを他オペレータに先駆けて展開したり、シンプル端末や日本製端末、デザイン性の高い端末などを積極的に投入するなど、ユニークなサービスで差別を図っている。また電子新聞調査では、キャリア別満足度アンケートでも、顧客へのサポートや料金などの項目において、3社中最も高い数字を示している。

 LGTのイメージは、なんといっても「安さ」だ。これは以前ユーザー確保のため端末を安売りしていたことや、道端で端末を安売りすることが最も多いこと、そして通話料金が安いことに由来する。そのためブランドにこだわらず、料金を安くあげたい人に使われることが多い。ただし最近ではサービスや端末のデザインに力を入れ始めたことから、サービス内容も充実した個性的なイメージに次第に変わりつつある。

 そうした努力の甲斐あってか着実に契約数を伸ばし、LGTの市場シェアは、9月末には16.1%と事業開始後初めて16%を突破した。この数字は10月末には16.3%となり、その分SKT、KTFの市場占有率がともに0.1%ずつ減少するという影響を与えている。

 SKTとKTFが、動画配信やテレビなどの先進的なマルチメディアサービス展開で争っている間、LGTはMP3フォンやモバイルバンキングなど、実用的で手の届く等身大のサービスを提供してきた。これが功を奏して、最近の契約増加につながっていると見られる。

LGTでは、「ヨン様」ことペ・ヨンジュンが長年イメージキャラクターを務めており、店頭には彼のポスターなども貼ってあるため、近頃は日本人観光客の注目も集める。キャリア正規店のほか、3つのキャリアの端末を同時に販売するショップも多い。そうしたショップの看板は見た目もにぎやかだ


佐々木朋美

プログラマを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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