京セラは12月20日、次世代無線通信技術「iBurst」の実験局本免許を取得し、国内で実験開始すると発表した。電波特性やスループット特性を測定、評価するのが目的。下り最大1Mbpsでデータ通信できる技術で、オーストラリアでは既にサービス展開されている(3月16日の記事参照)。
iBurstとは、高度化PHSと位置付けられるTDD/TDMAの通信方式。周波数利用効率が高いのが特徴で、「TD-CDMAやTDS-CDMA(MC)よりも効率がいい」(京セラ広報)という。PHSと同じく多重セルの考え方を採り入れており(11月26日の記事参照)、1基地局あたりのセル半径は「敷設場所にもよるので具体的に何キロ、何百メートルとはいえないが、携帯電話よりは小さい」(同)。
TDD技術 | 研究事業者 |
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TD-CDMA | IPWireless |
TDS-CDMA(MC) | Navini Networks |
iBurst | 京セラ |
下り最大1061Kbps、上り最大346Kbpsの通信速度を実現するもので、“無線版ADSL”との位置付け。海外ではPCカード型のユーザーターミナル端末や、固定PCとUSB接続する比較的出力の高い端末などが用意されている。来年3月には、南アフリカでの商用サービスも予定されている。
いまのところ国内で商用化の予定はないが、「オーストラリア向けにクライアント端末、サーバとも開発済み。帯域が割り当てられ、手を挙げてくれる通信事業者がいればすぐにも国内に技術を導入できる」(同)という。
今回の実験は、2GHz帯(2005.3125〜2009.6875MHz帯)を利用し、同社横浜事業所内に実験局を設置して行われる。技術的には、3.5GHz以下程度の帯域なら利用可能とされる。
今後は、さらなる高速化を目指す。具体的には、2005年に下り最大2Mbps、2009年には下り最大10Mbpsを目指す。高速化には、PHS同様チャネルを束ねる手法(10月14日の記事参照)を用いるほか、周波数の利用効率をさらに上げることなどが考えられるという。
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