定額制+フルブラウザで、既存の収益モデルが崩壊する2004年を振り返る(2/3 ページ)

» 2004年12月29日 10時19分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

Operaなど、フルブラウザ搭載端末が登場

 インターネット上のPC用Webサイトを、携帯端末で見られるWebブラウザ搭載端末が登場したのも、2004年のトピックといえる。

 先行したのはDDIポケットの京セラ製端末「AH-K3001V」だった。ブラウザに「Opera」を採用、つなぎ放題コースで利用することで、パケット料金定額でPC用のコンテンツを楽しめる。

 Operaを採用したもう一つの端末が、auのカシオ製端末「W21CA」だ。AH-K3001Vが32Kbpsと通信速度が遅かったのに対し、W21CAの下り最大速度は2.4Mbpsと非常に高速で、快適に利用できる。

W21CA(左)とAH-K3001V(右)で、PC用の同じWebサイトを表示したところ

 ACCESSの「NetFront」も、LinuxやSymbian OS、BREWなどクロスプラットフォームで動作するフルブラウザだ。2005年に開かれる愛・地球博でKDDIが提供するWindows Mobile 2003搭載端末「愛・MATE」に採用されているが、ほかにフルブラウザとして国内の携帯に採用されている例はない。

日本初のWindows Mobile 2003搭載端末「愛・MATE」。オレンジ(左)とブルー(右)は機能が異なり、オレンジはCDMA 1X WINの携帯電話として、ブルーは主に入場券の読み取り機として利用される。

 データ通信料が定額になれば、データ量が多いPC用Webサイトも気軽に閲覧できる。フルブラウザ搭載端末の登場は、定額制の流れを無視しては語れない。PHSであるAH-K3001Vは完全につなぎ放題の料金体系で利用できるが、W21CAのOperaで使った通信料は、ダブル定額の適応外だ。

 現在市販されている携帯で、定額制で利用できるフルブラウザというと、「jigブラウザ」が唯一の選択肢といえる。ただしこれは端末にあらかじめプリインストールされているのではなく、サイトからダウンロードして利用するアプリケーションだ。ドコモFOMA900i/901iシリーズや、auの「W11H」「W11K」「A5403CA」「A5406CA」「A5407CA」で動作する。

 PC用Webサイトを見る場合、テキスト主体のコンパクトHTMLに比べ、データ通信量は跳ね上がるため、ユーザーは「フルブラウザは定額料金で使いたい」と考える。しかしキャリアにとって、現行の定額料金の体系でフルブラウザを使えるようにすることはまだ難しい。フルブラウザと定額制の兼ね合いをどこで付けたらいいのか、キャリアもまだその答えは見えていないというのが現状だ。

定額制+フルブラウザの導入で、コンテンツのビジネスモデルも変わる

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