多くの携帯電話は、アドレス帳に登録した特定の相手の個人情報や、特定のフォルダに保存したメールなどをパスワードで保護するセキュリティ機能を備えている。一般的にプライバシーモードと呼ばれる機能だ。
ただ、これらの機能の多くは、保護している情報の存在自体が第三者に分かってしまうものも多い。ユーザー自身が保護情報の存在を忘れないようにするという意味合いもあるのだろうが、これでは「重要な情報がここに入っていますよ」と教えているようなものだと、いえなくもない。
「A5509T」(2月7日の記事参照)の「セキュリティモード」は、アドレス帳やメールフォルダ内の特定の情報を隠す(セキュリティをかけて守る)のではなく、隠したい情報を保存するためのエリアを別途設けるというアプローチで、情報を守る仕組みだ(1月20日の記事参照)。
電源を入れた直後はセキュリティモードはオフになっており、この状態では他人に見せたくない情報はまったく表示されない。セキュリティモードをオンにして始めて、隠しておいた(セキュリティで守る)情報の一覧などが選択肢に現れ、これらの情報にアクセス可能になる。
A5509Tの「セキュリティモード」が従来の「プライバシーモード」と大きく異なるのは、セキュリティモードがOFFであれば保護した情報が存在することすら隠せる点にある。
そもそもセキュリティモードの存在自体を気づかれないようにすることも可能だ。初期設定ではメインメニューにセキュリティモードのメニューが表示されているが、これをカスタマイズして他の項目に置き換えれば、セキュリティモードの存在を隠せる。
それでは、メインメニューからセキュリティモードのオン/オフ設定を行うメニューを消してしまったらどうするのか──。これは、特定のボタン操作でセキュリティモードをオンに設定できるようになっている。この操作はそれほど難しくはないが、文字入力も画面に反映されないなど容易には見抜けない。A5509Tにセキュリティ機能があると知っている人以外、その存在に気付くことはまずないだろう。
データの保護も徹底している。通常のデータとセキュリティモードで保護されたデータは、ほぼ完全に別管理され、Eメールやデータフォルダは別の一覧が用意される。Eメールでは実際に保存されるメモリエリアもセキュリティモード専用に受信メールに625Kバイト、送信メールに250Kバイト確保され、保存件数なども別々に管理される。このため、保存件数から隠したEメールの存在に気付かれることもない。
ほかにもセキュリティモードでは、文字入力の学習すら無効にできる。特定の名前やキーワードを入力したことまでも、隠せるわけだ。
履歴も当然、表には見えない。セキュリティモード用のアドレス帳に登録した相手との発着信履歴は、セキュリティモード時しか閲覧できない。また送受信したEメールは自動的にセキュリティモード用のフォルダに保存される。
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