動き出した欧州版“おサイフケータイ”(1/2 ページ)

» 2005年03月18日 18時56分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 モバイルSuicaのフィールド実験が開始され、携帯電話の新しい用途となるかが注目を集めている。このSuicaに利用されているソニーの近接型非接触ICチップ、FeliCaの上位技術となる無線通信規格が「Near Field Communication」(NFC)だ。これまでの“読む”から、読む/書くの双方向での通信が可能となる国際標準である。

 携帯電話メーカー最大手のフィンランド・Nokiaは昨年11月、NFCをサポートした初の携帯電話ケースを発表(2004年11月3日の記事参照)。今年前半に独フランクフルト近郊のハナウにて、地下鉄やトラム(路面電車)などを運営する公共機関Rhein-Main-Verkehrsverbund(RMV)と共同でフィールド実験を開始することになっている。

 日本ではNTTドコモがiモードFeliCaで非接触ICチップ携帯電話の先陣を切ったが、NFCではどのようなことが実現できるのだろうか? 同社Nokia Ventures Organizationの市場開拓責任者、ゲルハルド・ローメン(Gerhard Romen)氏に話を聞いた。

Nokia Ventures Organizationの市場開拓責任者、ゲルハルド・ローメン(Gerhard Romen)氏

――NFCについて教えてください。

 ソニーのFeliCa、オランダRoyal Philips ElectronicsのMiFareと互換性がある近距離無線規格で、10センチほどの通信範囲を持ちます(2003年12月8にtいの記事参照)。タッチして認証するというシンプルさが最大の特徴です。

 Nokiaは2004年、ソニー、PhilipsとともにNFCの普及を目指すNFC Forumを設立しました(2004年3月18日の記事参照)。今年2月末には、米Texas Instruments(TI)、松下電器産業、NEC、Microsoft、韓Samsung Electoronics、米Motorolaも参加し、設立目的であったエコシステム確立に向けて大きく前進しました。

――Nokiaの取り組みを教えてください。

 RFID対応のアクセサリーとしては、「Nokia 5140」向けの専用のカバーを出荷しています。上位のNFCでは、「Nokia 3220」向けに専用のカバーを発表しました(2004年11月14日の記事参照)。数週間で出荷を開始します。また、同端末を利用して、ドイツのRMVでフィールド実験も始めます。

「Nokia 5140」(左)、「Nokia 3220」(右)

 RFIDでもNFCでも大切なことは、ユーザーにとっては携帯電話に過ぎないという点です。RFIDでは導入事例として、大手セキュリティ企業がNokia 5140を入退場管理に使っていますが、一昔前、守衛がカギをたくさんぶらさげて1つのドアを開閉しては次のドアへ進んでいったのと同じことを携帯電話でやるという考え方です。

――NFCの長所はなんでしょう?

 NFCは双方向での通信が可能で、タグを読み取るリーダーと、タグに書き込むライターの両方の機能を持ちます。

 最も簡単な利用法としては、カラのタグに対して特定サービスからSMSで情報を取得するようにプログラムすることができます。2つ目として、特定の電話番号に発信するように設定し、このタグにかざせば110番に通報する“Help”のタグなどを作ることができます。3つ目として、天気情報やバスの時刻表サービスなど特定のURLに接続するようにプログラムすることができます。

 “タッチして発信”の次のステップとして、相手の端末とタッチして情報をやり取りできるようになります。名刺を交換する代わりに、携帯電話をかざし合うようなことが実現するかもしれません。また、URL情報などを瞬時に交換し合うこともできます。電子マネー機能の延長として、親が子供にお小遣いを携帯電話ごしにあげるということも想定できます。

 NFCの最大の強みは、タッチというシンプルな動作で複雑なことができる点です。欧州で人気のBluetoothヘッドセットはユーザー自身で設定(ペアリング)が必要ですが、このような作業がタッチで完了となれば、ユーザーにとってのメリットは大きいといえます(3月3日の記事参照)。同じような例として、新しい携帯電話を買った場合、タッチすればオペレータ設定が行えるということも考えられます(2004年8月24日の記事参照)。

 私は、車のキーを回せばエンジンがかかるというのは究極のシンプルさと思っています。NFCはこのようなことを実現できる可能性を秘めています。

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