作品名 | いぬのえいが |
監督 | 犬童一心、黒田秀樹、黒田昌郎、佐藤信介、真田敦、永井聡、祢津哲久 |
制作年・製作国 | 2004年日本作品 |
今回ご紹介するのは、犬の物語を11本集めたオムニバス作品「いぬのえいが」。個性的な飼い主とのコメディから感動作まで、登場する犬は50種類90匹以上。中には映画史上初(?)、携帯電話で会話する犬まで現れます。
「いぬのえいが」のひとつ『CMよ、どこへ行く』では、ドッグフードのCMを手掛けることになったCMプランナー・山田賢太郎が主人公。CM製作の裏側が垣間見れる作品です。
山田は人気タレントの白鳥美咲を起用し、犬との生活をほのぼの描いたCMを計画しますが、上司からは犬よりも白鳥美咲を可愛らしく映すようリクエストされます。さらにクライアントからはBGMを演歌にするように、白鳥美咲のマネージャーからは犬よりも前面に、と次々に山田に注文が付けられます。その要望に応えていくうちに、CMはトンデモないものになってしまい、落ち込む山田。
そして、ふとしたことから、山田は幼い頃にかわいがっていた犬・ポチを思い出します。それが『ポチは待っていた/思い出』。体が弱く内気で、友達もなかなか作れなかった山田少年。空き地で出会った柴犬が、山田少年の遊び相手でした。その犬をポチと名付けて、毎日のようにボール投げをして遊んでいました。しかし、ある日ボール投げの最中に、喘息の発作を起こしてしまった山田少年。救急車で病院に運ばれて、ポチとはそれっきりになってしまったのでした。
ひとりぼっちになってしまったポチ。しかし、ポチには新たな出会いが待っていました。それが『ポチは待っていた/唄う男』につながっていきます。
公園のベンチで大喧嘩をしている美春と正夫のカップル。美春は頼りない正夫に愛想を尽かし、正夫より犬のほうがいいと、たまたま近くにいた犬・ポチを連れて立ち去ります。突然の別れに動揺する正夫。所属する劇団の練習にも身が入りません。新作のミュージカルで大きな役を手にし、美春にも見てもらいたいのに。
諦められない正夫は、美春のマンションを訪ね、舞台を見に来てくれるよう頼みます。正夫の存在の大きさに気付きながらも、素直になれない美春。意地をはった後で、後悔して泣き出した美春をなぐさめるようにポチはそばにいました。
やがて公演の初日を迎え、大成功を収めた正夫は、喜びを一番に伝えたい美春に電話をします。しかし、携帯電話の呼び出し音が鳴るばかり。そこまで嫌われたのかとがっかりしたその時、電話がつながります。
「怒ってる、美春?」
「ワン!」
なんと電話に出たのはポチ。
「君かぁ」
「ワンワン!」
ちゃんと返事をするポチ。
「そんなこと言ってくれるのは君だけだよ」
ポチの元気な声に勇気付けられた正夫は、再び美春のマンションにやって来て、今の気持ちを歌い上げます。恋のキューピットとなったポチ。そして、『ポチは待っていた/病院』『ポチは待っていた/空き地』とポチの物語は続いていきます。
ほかの作品、『A Dog’s Life:good side』『うちの子No.1』『恋するコロ』 『犬語』『A Dog's Life:bad side』『ねえ、マリモ』にも、“いぬ”と“ひと”の暖かなエピソードが詰まっています。『犬語』ではなんと、犬語翻訳機・バウリンガル(2001年8月の記事参照)開発秘話(?)が明かされています。
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