今年後半にも登場すると見られる、“地上デジタル放送”対応端末。東京ビッグサイトで開催中の「国際フラットパネル ディスプレイ展」では、メーカー各社が、地デジ対応を意識したディスプレイをこぞって出展した。
NEC液晶テクノロジーは、ガラス基板上にドライバやスイッチなどの回路を搭載したシステムオングラス液晶(SOG液晶)を参考出展(2003年5月の記事参照)。
「解像度320×480ピクセルの2.5型SOG液晶は、地上デジタル端末への搭載を視野に入れた製品」だと説明員。「応答が速く高精細。1画面の中に320×240ピクセルの地上デジタル表示エリアと縦に240ピクセル分のデータ表示エリアを持てる」(説明員)。研究開発段階の製品で、量産にはもう少し時間がかかるという。
東芝松下ディスプレイテクノロジーは、横幅はそのままに、縦を80行分長くした「QVGAワイド」の微反射液晶を展示。解像度240×400ピクセルの解像度で、従来のQVGA液晶に比べて25%情報量がアップする。
コントラストが従来製品の200:1から300:1に向上し、くっきり感の高い画質が得られるという。「フルブラウザ利用時のWeb表示やメール閲覧、テレビ視聴時の利便性を考えて開発した」(説明員)
東北パイオニアはアクティブマトリックス型で2.4インチ、QVGA解像度の有機ELパネルを出展した(2004年10月22日の記事参照)。
有機ELは、素子自体を発光させる仕組みのディスプレイで、高いコントラストと広い視野角が特徴。応答速度が一般的な液晶の1000倍と速く残像が残らないため、地上デジタル端末用ディスプレイの有望株といわれている。
発光寿命も、実際に使う状態で換算して約2万時間と実用に十分なレベルに達している。「量産体制もできて、いろいろなメーカーと交渉している」と説明員は話す。
液晶に比べて低温の環境下で使えるのも特徴の1つ。「液晶は−10度あたりになると液晶素子自体が動かなくなり、表示が機能しなくなるが、有機ELは−20度の環境下でも動作する。デジタルカメラや車などタフな環境下での動作が要求されるものにも向いている」(説明員)
課題はさらなる長寿命化。「素子や構造の部分で工夫の余地がある。今はボトムエミッション方式で開発しているが、トップエミッション方式も検討している」(同)
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