「われわれはまだ満足していない。まだ、これから伸びていく市場の出発点にいる」
今後は、「ローコストな端末にもSymbianを使おうと考えている」とクリフォード氏 |
6月22日に英Symbianの新CEOナイジェル・クリフォード氏が来日。記者会見でこのように話した。Symbianが開発するSymbian OSは、ハイエンド携帯電話向けのOSとして採用数が急速に伸びている。
2005年の第1四半期は、全世界で675万台のSymbian OS搭載端末が出荷された。前年同期比で180%の成長となる。フィンランドのNokiaをはじめ、英Sony Ericsson、米Motorola、韓国のSamsungとLG、台湾のBenQなどがSymbian OS搭載端末を投入している。販売中の製品数は48に上り、41の製品が開発中となっている。
この成長をさらに加速するために、クリフォードCEOが重視しているのが日本市場だ。「(世界で見ても)3G端末の多くはドコモとボーダフォン。日本を、われわれの成功のカギと見ている」
ハイエンド携帯電話のメイン市場である3G端末は、現在のところほとんどが日本市場向けだ。「Symbian搭載の3G携帯は、かなりの部分が日本向け。ヨーロッパがこれから立ち上がる状況」だと、日本法人シンビアンの久晴彦社長は話す。
国内メーカーでは、富士通と三菱がSymbian OSを使ったFOMAを提供しており、その数は計11機種に上る(6月15日の記事参照)。いずれもドコモがFOMA向け仕様として策定した「MOAP」(Mobile Oriented Applications Platform)に沿ったものだ。
「ドコモはモバイル向けのプラットフォームとしてMOAPを構築している。これにSymbianも協力している」(久氏)
MOAPは、いわゆるSymbianのUIプラットフォームよりも広い範囲を規定するもので、「Symbian OSと合わせるとFOMAのかなりの部分ができあがる」(久氏)という標準仕様だ。ドコモはSymbian OSとLinuxについて、こうした標準仕様を策定済み(2003年12月3日の記事参照)。FOMA開発メーカーでは、NECとパナソニック モバイルがLinuxを採用している。
SymbianとMOAPを使うことで、富士通のFOMA開発速度は確かに早くなっている。「ほとんどのFOMAシリーズで富士通が最初に出している。1年間に5機種というすごいスピード」だと久氏。
今後は、シャープやソニー・エリクソンもSymbian OSを使ったFOMA端末を投入する予定だ(2004年11月29日の記事参照)。「現在開発が順調に進んでおり、将来素晴らしいFOMAがシャープさんからも出てくるだろう」(久氏)
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