MVNOは、低容量、低価格の料金プランが主戦場といわれている。実際、各社の料金プランを見ても、10GB以下の料金プランを手厚くしていることが多い。その一方で、徐々に中容量以降の料金プランを選択するユーザーも増えているという。2025年、ギガプランの中・大容量プランを改定したIIJmioも、その1社だ。
IIJは、2025年に続き3月にも15GBプランを200円値下げしており、中大容量を選択する新規契約者の割合が急激に上昇しているという。データ使用量が増えていることに加え、徐々に主回線としてIIJmioを使うユーザーが拡大している質的な変化もこうした選択に影響を与えている可能性がある。
では、IIJはどのような意図で15GBプランを値下げに踏み切ったのか。その理由や料金プラン改定の成果を聞いた。インタビューには、常務執行役員でモバイルサービス事業本部長を務める矢吹重雄氏と、MVNO事業部 営業企画1部長の今井健氏がこたえた。
―― 3月から15GBプランを200円値下げし、月額1600円になりました。この値下げに踏み切った経緯を教えてください。
今井氏 昨年の料金改定は15GB以外の中大容量を一斉に下げましたが、その後に起こった変化として、主力だった2GBや5GBが減り、10GB以上に寄っていくといったことがありました。新規契約に占める割合が上がったということです。中容量、大容量のニーズが強くなっているというのが、この1年を振り返っての仮説になります。10GB、15GB、25GBが主力になるという自信をますます深めた結果、改めて15GBの価格を改定することになりました。
―― 値下げすることで、ARPU(1ユーザーあたりからの平均収入)は下がってしまうと思いますが、その辺はいかがですか。
今井氏 バランスだと思っています。(ユーザーの選ぶプランが)そのままでいれば確かにARPUは下がりますが、15GBを他社と横並びで比較している方によりリーズナブルになったことを訴求できるメリットはあります。
―― 以前と比べて、どの程度中容量、大容量のプランを選ぶ人が増えているのでしょうか。
今井氏 2024年から新規の割合をプランごとに取っていますが、1年前と比べて、10GB、15GB、25GBの比率は約3倍になっています。
―― 3倍は大きいですね。
今井氏 その分、2GBと5GBがギュッと減っています。これは、かなり大きな変化です。あくまで新規契約の方の比率ではありますが、プロモーションをすることで、徐々に既存のユーザーにも乗り換えていただけます。
―― MVNOは低容量が主戦場といわれていましたが、その常識が変わってきているということですね。
今井氏 体感としてはそうなります。実際、5GBでは足りない方も2割、3割ぐらいの比率でいます。
―― それは、ユーザーの使い方が変わったのでしょうか。それとも、IIJmioを契約するユーザー層が変わったということでしょうか。
今井氏 今までは、IIJだと安くてリーズナブルというイメージでしたが、それが少し変わってきている印象はあります。新しい方々のニーズを取り込めました。また、既存の方にもプラン変更のアップグレードを促すと、かなりの確率で使っていただけます。一度使っていただくと、「実は使える」ということで満足度も高くなっています。
―― 動画コンテンツの利用が増えたというような影響はありますか。
今井氏 内部的には動画配信サービスの取り扱いを始めたばかりなので大勢には影響ありませんが、その他の動画を外出先で見る機会は広がっているのかもしれません。
―― U-NEXTなどのセット割を始めていますが、それがトラフィックに与える影響はまだ見えないということですか。
今井氏 ただ、思っていたよりも販売は伸びていますし、つけていただければ利用量も上がっていきます。中大容量帯の競争力をつけてきたので、その流れの中で、ああいったものは多数取りそろえていきます。
―― 10GB以上が増えているという中で、今のギガプランは2GBと5GBの料金差も小さくなっていますが、これを統廃合するというお考えはありますか。
今井氏 今のところそういった検討はしていません。キャンペーンも含めて、5GB以上が非常にリーズナブルになるように意識的に設計はしていますが、一定数の割合で2GBがいいという方もいます。そのニーズを捨てることはありません。eSIMでデータ通信のみ(IIJのフルMVNO網)だと2GBで440円からになるので、サブ回線として一定のニーズもあります。ちょっとだけ使いたいという人や、ほとんど使っていないが安心のために持っておきたいという人もいます。
―― 1円でも10円でも安い方がいいという人もいるということですね。逆に、10GB以上のプランで比率が高いのはどこでしょうか。
今井氏 今だと価格改定したこともあり、15GBがドンと増えています。改定前は10GBが大きな部分を占めていました。改定効果はかなりあったと見ています。
―― その方々は、ちょうどデータ容量を使い切るようなイメージでしょうか。
今井氏 傾向的にはですが、低容量であればあるほど意外とデータ容量が余る傾向にあります。大容量は逆ですね。
―― それは、サブ回線として寝かせている人もいるからでしょうか。
今井氏 そうかもしれません。平均を取るとそうなるからです。逆に、15GBや25GBはその容量が必要だから選ぶ方が多い。プラン変更は毎月できるので、足りなければアップグレードできますし、使わないようでしたらダウングレードもできます。
―― 増えたという話ですが、絶対数で言うと、どのプランが一番多いでしょうか。
今井氏 ギリギリで最多は5GBですが、バランスが取れてきています。(料金改定後は)2GBが減っていき、5GBも減りました。代わりに10GB、15GB、25GBが増えていきます。
―― ahamoなど、大手キャリアのオンライン専用プランは30GB前後が多いですが、そこまでは必要ないという方の受け皿になっているのでしょうか。
今井氏 確かに30GB以上はかなり少なくなってきます。
―― 2年連続での料金改定になりましたが、今後も継続的に見直していくのでしょうか。
今井氏 商戦期の前には検討していくと思います。
矢吹氏 一方で、物価高もあり、接続料が上がって原価も上がっています。従来のように、接続料の下げ幅を還元するのが素直にできなくなってきた外部環境があります。それをどう考えていくかですね。ARPUが上がることと、原価が上がることのバランスを見据えて考えていくことになります。
今井氏 KDDIさんは値上げしましたが、Starlinkなどの付加価値をつけてユーザーに受け入れられています。そういったいろいろな可能性も、来年(2027年)は考えていきたいですね。
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