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» 2005年07月15日 23時58分 公開

テレビ局は携帯でどう稼ぐ? TBSの場合ワイヤレスジャパン2005

携帯が高機能化し、テレビとより密接になりつつある。テレビ局は携帯を活用して、どう収益を上げようとしているのか?

[杉浦正武,ITmedia]

 携帯がマルチメディア端末化するにつれ、携帯とテレビの関係はより密接になりつつある。テレビ局は携帯を活用して、どう収益を上げようとしているのか。

 「ワイヤレスジャパン2005」会場では、「本格化するモバイル・メディア・ビジネス」と題されたパネルディスカッションにTBS モバイル&ネットセンター担当部長の成合由香氏が登場。同社の考えを話した。

Photo TBSの成合氏

広告モデルは難しい

 携帯コンテンツは、月額数百円の小額課金で提供されることが多い。テレビ局は広告モデルで成り立っているが、携帯プラットフォームでも広告で収益を上げることはできないだろうか。

 この話題を振られた成合氏は、「広告モデルは非常に微妙」と苦笑する。「どういうかたちで(広告)代理店、クライアントと向き合うか。コンテンツビジネスのほうがやりやすい」

 テレビ局の本業は、やはり放送。それは各局に共通する認識で(2004年8月27日の記事参照)これに携帯を絡めるというのが基本路線だ。実際、テレビ局が運営する携帯サイトの情報を放送で流すと、とたんに加入者が万単位で増えるという。

 「(放送では)我々は成熟したかたちでノウハウを持っている。これに結び付けて、(携帯サイトに)飛ばす」

 成合氏は続けて、モバイルコマースも有望だと話す。「弊社のコマースは、年600%という伸びを示している。深夜のテレビショッピングなどと連携させるのだが、ユーザーにすれば『モバイルで決済したほうが楽だな』という感じらしい」

番組参加型モデルの問題点とは

 テレビ局はしばしば、放送番組と携帯をリアルタイムで連動させる試みに取り組んでいる。番組視聴中にアンケートに応えてもらったり、クイズの回答を送信してもらったりといった具合だ。

 ただ成合氏は、地上デジタル放送開始でちょっとした問題も起きたと苦笑する。

 地上デジタル放送は通信方式の特性上、アナログ放送と比べて映像のクオリティが高いが、受信までやや時間がかかる。つまり、アナログ放送と地上デジタルで同じ番組を視聴していると、地上デジタルのほうが2秒程度遅れて受信される。

 「このため、早押しクイズでは地デジユーザーが不利になってしまう」。総務省としても、地上デジタルの視聴者が不利になる番組作りにはいい顔をしないだろうから、考えていかなければ……という。

 テレビ番組そのものをデジタルコンテンツ化して、携帯に配信することはできないのか。このトピックで、成合氏は同局の番組「チューボーですよ!」を引き合いに出し、タレントが登場するシーンはカットして素人が出演するシーンだけを配信するアイデアを示す。

 「“街の巨匠”というコーナーがあるが、これを切り取って配信できればいいなと考えている。(タレントが登場して)肖像権に引っかからないものがいい」。ただ、話全体では「番組のネット配信は困難」というトーンだった。

 もっとも、期待できる動きもある。TBSは横浜ベイスターズという野球球団の筆頭株主であり、ベイスターズの試合という“ソフト”を持っている。一方で、野球の試合は視聴率の低下が取りざたされている。

 「(野球人気の低迷が)今だけならいいが……。先日も、巨人―中日戦の視聴率が6%しかないというニュースがあった。これでは莫大な放映権料と見合わない」

 野球をそのままテレビで流しても、収益上問題がある。しかし、野球関連のソフトは所有している。それなら携帯などでネットで配信してはどうか、という考えのようだ。

テレビ番組の配信はブロードバンドでも困難?

 昨今、テレビ番組をネット配信する動きがしばしば取りざたされている。先日も、日本テレビが番組を年内に1万本以上配信するとの報道があった(7月12日の記事参照)

 しかし、この日のパネルディスカッション出席者は一様に「権利処理の煩雑さから、ネット配信は容易でない」と繰り返す。モデレーターを務めたモバイル・コンテンツ・フォーラムの岸原孝昌事務局長は、「経団連で番組二次使用料をどう分配するかが決まっただけ。それも指標に過ぎず、細かいことはきまってない」と指摘する。

 年に1万本というが、コンテンツ業界の関係者にすれば「どうやってやるんだ」という印象を受ける――と岸原氏。会場のパネラーたちも、似た感想のようだった。

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