台湾には「世界一高いビル」がある。その展望台で携帯を使うと、どうなるのだろうか?
台北駅から地下鉄で10数分、「市政府」駅付近は再開発が進んでいる。駅名の由来でもある台北市政府(市役所)やオフィスビル、ビジネスホテルや高級ショッピングセンターが集まる台北の新都心になっている。この一角にそびえているのが、地上101階、地下5階、高さ508メートルの高さを誇る世界一の高層ビル「台北101」だ。
台北101の正式名称は「台北金融大楼」。地下1階から地上5階までがショッピングセンター、そこから上はオフィスになっている。この展望台に、3G携帯を持って上ってみることにした。
台北101の展望台は89階、382メートルの高さにある。残念ながら地上508メートルの“世界一高いビルの頂上”で携帯を使うことはできないが、この高さですら日本一高い横浜ランドマークタワーの296メートルより高い。ランドマークタワーの展望台は高さ273メートルの位置にあるそうなので、日本では体験できない高さであることには変わりない。
展望台へのアプローチは5階の受付で入場券を購入し、専用エレベーターを利用する。入場券は大人NTD350(=約1000円)。訪問した当日も、ビル内は観光客でにぎわっていた。
展望台は定員制とのことで、エレベーターの前で10数分ほど待つことになった。エレベーター前では空港にあるような金属探知機をくぐる必要がある。当然のことながら、危険物の持ち込みは禁止されている。
エレベーターに乗り込み、89階の展望台を目指す。エレベーターの速度は分速1010メートルで、これも世界最速。5階から89階までの所要時間は、わずか37秒だ。案内嬢がドアを閉め、89階のボタンを押すと一気に加速し、展望台へはあっという間に到着する。
エレベーターを降りると、そこは地上382メートルの未知の空間が広がっている。恐る恐る窓側に近寄り、下を見てみればとにかく「高い!」。あいにくの曇り空だったが展望台内を一回りすれば、台北市内を遠くまで見渡すことができる。さっそく携帯電話での通話を試そうと思ったところ、なんとソファーに座っている台湾人が携帯片手に通話しているのを発見した。地上382メートルで、携帯が使えるというのだろうか?
実は台北101には、ビル全体にスウェーデンのEricsson製室内共通アンテナシステムが設置されている。そのため、高層階では外部からの電波が届かなくとも、室内のアンテナから電波が届くようになっている。世界一高いビル内で携帯電話を不自由なく使えるよう、あらかじめ対応がされているわけだ。
とはいえ、実際に自分で通話してみないことにはちょっと信じられない。音質が問題ないのか、という点も確認したい。そこでNokia「7600」に地元台湾、Taiwan MobileのSIMカードを装着して台北市内、日本へ国際電話をかけてみた。
結論からいうと、どちらの国へも問題なく通話することが可能。通話品質もクリアそのもので、高層階にいることを感じさせなかった。
続いてパケット通信をテストしてみる。ボーダフォン「702NK」を取り出し、まずはネットワークをサーチしてみる。すぐに3つの大手通信オペレーターのGSMと3G、両方の電波を感知した。ボーダフォンはこれら3社とローミング契約を行っているため、ひとまずTaiwan Mobile(台湾大可大)を手動で選択。この状態でボーダフォンライブ!への接続、Vodafone Access InternetでのEメール送受信、いずれも問題なく接続できた。世界一の高層ビルからメールを送ることは、なんら問題ないようだ。
ドコモは7月13日から、台湾FET(FarEasTone)のネットワークでテレビ電話ローミングサービスを開始している(7月4日の記事参照)。ならばと、FOMA「N900iG」を取り出し、電源を入れてみる。まずはGSMモードで立ち上がり、FETのGSMの電波を難なく捕まえることができた。
次に「Multiキー」を長押しして、3Gモードに切り替えてみたが、残念なことに端末の調子が悪いのか「ネットワークの検出に失敗しました」と表示が出て、FETの3G(W-CDMA)の電波を検出できない。テレビ電話は3Gでのみ利用可能なので、これでは試すことができない。場所を移動しながら何度か試してみたが、結果は同じだった。世界一高いビルからのテレビ電話は無理なのだろうか?
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