静止画撮影機能は既に荻窪氏のレビュー(6月21日の記事参照)が掲載されているので今回は触れないが、動画撮影機能で携帯電話初の機能として搭載されたのが手ぶれ補正機能だ。撮影サイズが240×176ピクセル、画質ファインのみに制限されるものの、携帯電話はビデオカメラに比べて手ぶれが発生しやすいだけに意味は大きい。
SH901iSの手ぶれ補正機能はいわゆる電子式。画質面で有利な光学式を採用するにはジャイロの搭載や、光学系もしくは撮影素子を可動させる必要があり、サイズ面でかなり無理があるので当然だろう。撮影素子から取り込んだ映像を直前の映像と比較して、もっとも映像が似るように、画像素子から取り込む位置を移動させることで実現しているものと思われる。手ぶれ補正をオンにすると画角が少し狭まるのも、撮影素子の上下左右に余裕が必要だからだろう。
ここでは効果が分りやすいように最も望遠寄りで(手ぶれ補正ONとOFFでは画角が違うので、若干調整はしている)、手ぶれを完全に防ぐのが不可能な手持ちで、遠くの揺れる木を撮影してみた。かなり陽が陰っていたので、暗い映像になってしまったことをお許し頂きたい。
さすがに手ぶれ補正オンでも完全にぶれを補正できるわけではないが、かなりのブレが吸収されている。ペットや子供などを望遠気味で動画撮影することが多いユーザーには役立ちそうだ。
検証結果からも分かる通り、音楽再生(7月25日の記事参照)、動画再生共にSH901iSは高い水準にあり、基本的な操作性は悪くない。しかしそれゆえにもう一歩踏み込んでくれたらと思う点もいくつかある。
1つは音楽再生でフォルダ管理ができない点だ。せっかく512MバイトのminiSDカードを利用できても宝の持ち腐れという印象を受ける。128Kbpsでエンコードした音楽ファイルなら余裕で50曲以上は収められるだろうから、ぜひアルバム管理を可能にしてほしい。
iTunesから「データリンクソフト」に直接ドラッグ&ドロップできない点ももったいない。miniSDカードへの書き込み時にはファイル名を変更しているのだから、拡張子が「m4a」のファイルを受け入れてもなんの問題もないはずだ。これは「データリンクソフト」側の改良だけで済むだろうから、次のモデルで改良してほしい点だ。
動画再生で気になったのは、早送り、巻戻しを行おうとして操作をミスして(短押しになってしまって)、前後の動画ファイルに移動してしまうことだ。この場合レジューム再生は無効になり、再生を中断してしまった動画ファイルは最初から再生することになる。
ところが早送り、巻戻しはあまり高速ではないので、再生を停止した位置に移動するのにかなりイライラさせられた。再生中に数字キーを押すことで全体の(数字キー)/10の位置に移動はできるが、これでも1時間の動画なら6分刻み。そこからさらに再生位置を移動させるには、早送りや巻き戻しが概ね3倍速程度なので、3分間分の移動に約1分かかる。できれば再生位置を時間で指定する機能を追加するか、早送りや巻き戻し操作の高速化を望みたい。
また音楽、動画再生共に、待ち受け状態からもう少し素早く再生可能にしてほしい。専用のキーを設けるほどのことではないと思うが、例えばビューアポジションからさっと音楽再生を開始できるような操作体系になれば利便性が向上するだろう。
とはいえSH901iSのAV機能が高水準であることは間違いない。ビューアポジションでは机上に置くと少し上を向くデザインを取り入れるなどAVプレイヤーとしての気配りも多く、動画再生時にはバックライトが暗くなった(節約モード)状態でも、夜間の電車内程度の明るさであれば十分視聴できる。モバイルAVプレイヤーとしての資質はかなり高いといえるだろう。
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