NTT再編で始まる「帝国の逆襲」 :モバイル戦国時代(第2回)(1/2 ページ)

» 2005年08月19日 19時57分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 新規事業者の参入に伴い激変する携帯業界をまとめる「モバイル戦国時代」、第2回はNTTの動向に焦点を当てる。

 ソフトバンクやイー・アクセスといった事業者の打ち出す新しい事業モデル(8月18日の記事参照)に、シェアの“牙城”を突き崩されるおそれもあるNTTドコモ。ただし、ここ最近のNTTの動向を見る限り守備に回るばかりではなく、むしろ攻撃的な仕掛けも見える。

NTTにとってFMC=「グループ再編」

 昨今、モバイルサービスのカギを握るのは固定通信と移動体通信の融合、いわゆるFMC(Fixed Mobile Convergence)だといわれる。KDDIやソフトバンク、それにイー・アクセスは自社で固定、移動体の両方を提供できるため、FMCの戦略が練りやすい。

 一方NTTドコモは少々事情が異なる。NTTはグループを分割されており、固定通信は大まかにいってNTT東西、移動体はNTTドコモと、それぞれ運営会社が異なる。ドコモにしてみれば、ユーザーの宅内まで伸びる固定網をどう都合するかは悩みどころだ。

 ここで、各種の制約を無視して素直に考えれば「NTT東西とドコモが手を組めばいい」となる。これが最も効率的で、かつ強力な組み合わせだ。だからドコモにとって、FMCはすなわちNTTグループの再編を意味するともいえる。

 実際に、それに近い動きも見えている。NTT東西とNTTドコモ、NTTブロードバンドプラットフォームは、3社の無線LANサービスを事実上統合すると発表した(7月12日の記事参照)。今後は各社が共通的にサービス展開を図るという。

 いうまでもなく、無線LANのアクセスポイント数、およびエリアカバレッジはFMCの事業展開で鍵となる部分。ドコモはNTTグループのリソースを結集することで、強大な無線LANネットワークを難なく手にしたことになる。

 もう1つ、気になるのがNTT東西とドコモが「請求書を一本化することで検討を進めている」と一部で報じられていることだ。

 先日の社長会見では、ドコモの中村維夫社長がこの件にコメント。「ドコモとNTT東西とNTTコムでは、請求システムがそれぞれ違うので大変な問題だ」としつつも、「いろいろと合従連携していくのが流れ」と話した。

 回線交換の固定電話サービスでは、NTTのシェアが依然として圧倒的多数を占める。請求書が一元化されれば、そうした固定電話ユーザーの多くが「それなら携帯もドコモにするか」と考えるきっかけになる。つまり、NTTグループのユーザー囲い込みにつながる。

 そもそもドコモの中村社長は、就任当時から「NTT持株会社の意向もあって社長職に就いた」との噂があった。この噂の真偽は確かめようもないが、現実の出来事をたどっていく限りでは、中村社長の「親NTT東西路線」が浮き彫りになっているように思える。

 こうしたNTTの動きに、反発する声も上がっている。NTT批判の急先鋒であるKDDIの小野寺正社長は、決算説明会(7月25日の記事参照)の席上で請求書一元化の件に言及。見過ごすわけにはいかないと声を荒げた。

 小野寺社長ならずとも、すべての通信事業者にとって巨象・NTTグループは脅威の対象。NTTグループの力をそぐために会社分割を行ったのに、改めて協力し合われては意味がない。こうした主張は、ある程度もっともといえる。

ドコモの「モバイルISP」で垂直統合モデルが完成?

 ほかにも、興味深いポイントがある。ドコモはFMCの先駆けになるような、PDAライクな携帯端末「M1000」を発売しているが、これとタイミングを合わせてISPサービス「mopera U」をスタートさせているのだ(5月24日の記事参照)。

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